内容説明
紛争は何をもたらすのか、影響を可視化する。紛争は様々なものを破壊する。イラクでは、とりわけ国民相互のつながりを破壊してきたと論じられることが多いが、それは本当だろうか?本書では、調査の結果明らかになったイラク国民の矛盾した意識を手掛かりに、紛争と国家・国民との関係を分析する。紛争がイラク政治に与えたインパクトを、独自の世論調査と計量テキスト分析などの斬新な方法論で解明した画期的な研究書。
目次
序章 紛争の影響を分析する
第1章 国家建設の蹉跌と非国家アクターの台頭
第2章 政治不信・強いナショナリズム・国家への期待
第3章 国民統合の政策とその変化―新旧学校教科書の比較分析から
第4章 対立が扇動されるとき―政党支持構造から宗派対立のサイクルを描き出す
第5章 ISは国民の分断を促進したのか―旧バアス党勢力との和解への支持から紛争のインパクトを描き出す
第6章 宗派主義の強さをはかる―計量テキスト分析でISのインパクトを描き出す
終章 紛争が再編する国家と国民
著者等紹介
山尾大[ヤマオダイ]
1981年滋賀県に生まれる。2010年京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科一貫性博士課程修了。2010年日本学術振興会特別研究員(PD)。現在、九州大学大学院比較社会文化研究院准教授、博士(地域研究、京都大学)。専門は比較政治、中東政治、イラク政治、国際政治。主要業績:「反体制勢力に対する外部アクターの影響―イラク・イスラーム主義政党の戦後政策対立を事例に」『国際政治』(166)、2011年(第5回国際政治学会奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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