内容説明
1955年の夏、ミシシッピにおいて、シカゴからやってきた黒人少年と地元の白人女性との間に持ち上がった「狼の口笛」事件に、「『黒獣強姦魔』から『南部のユリ』を守る」という白人至上主義の正当性を説明する「神話」が適用され、少年は「私刑」によって裁かれた。当事件から半世紀以上が経過して沈黙を破った白人女性当人による「神話」の欺瞞の告白を基に、歴史家タイソンは当事件に新たな解釈を施している。
目次
あの少年が何をしたとしても…
屋根付き玄関に響く深靴の音
シカゴの黒人として育つ
シカゴそして「ミシシッピ州民街」のエメット
クリスマスに拳銃で頭を殴る
何が起こったのか?
三日目のこと
ママが世界を震撼させた
敵対するミシシッピの連隊
暗黒の月曜日
この辺りでは俺たちにもう必要のない連中
固定観念
「ミシシッピ地下活動」
「彼はそこにいます」
「あなた方アングロ‐サクソンは一人残らず」
世界が下した評決
全米に広がる抗議集会
エメット・ティル殺害
著者等紹介
タイソン,ティモシー・B.[タイソン,ティモシーB.] [Tyson,Timothy B.]
1959年ノースカロライナ州生まれ。1994年、デューク大学にて歴史学博士号を取得。アメリカ合衆国における公民権獲得の戦いの歴史を追究する歴史家。また現在、デューク大学・ドキュメンタリー研究センターの主任研究員や、ノースカロライナ大学チャペルヒル校・アメリカン・スタディーズの講師として上記分野の研究・教育に携わっている。研究の成果として単著出版されたものに限れば、1999年出版の『ラジオ・フリー・ディキシー=ロバート・F・ウィリアムスそしてブラックパワーのルーツ』は、人種に関する優れた図書に与えられる「ジェームズ・ローリー賞」や、アメリカ歴史に関する優れた図書に与えられる「アメリカ歴史家協会」の「フレデリック・ジャクソン・ターナー賞」などを受賞している。2004年出版の『血による署名』は、「2005年全米批評家協会賞」の最終選考作品となり、「2005年南部図書賞・ノンフィクション部門」と「2006年グロマイヤー賞・宗教部門」を受賞している。また2010年に同タイトルで映画化されている。そして2017年出版の『エメット・ティルの血』は、「2017年全米図書賞・ノンフィクション部門」の「ロングリスト」10冊の中の1冊に選ばれ、また「2018年ロバート・F・ケネディ図書賞」を受賞している
廣瀬典生[ヒロセノリオ]
1948年11月奈良県生まれ。関西学院大学名誉教授。博士(文学)。アメリカ文学・文化専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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