内容説明
三段論法で身を固めた体系家ヴォルフ。この硬直化したヴォルフ像を破壊してドイツ学校哲学の歴史に新しい参照軸を導入し、若きヴォルフの思想の現代的可能性を浮かび上がらせる。本書は「著者を著者自身よりよく理解する」(カント)試みである。ドイツ啓蒙思想研究必携の書。これまで指摘されることのなかった若きヴォルフの動的・全体論的知識体系論の分析。あわせてヴォルフ哲学体系巻頭の書「ドイツ語論理学」の本邦初の全訳を収める。
目次
第1論文 ドイツ啓蒙の哲学者 若きクリスティアン・ヴォルフの知識体系論―「ドイツ語論理学」第4章第23、24、25節を中心に(時代;ヴォルフの三段論法論(「形式的推理」論)
全体論的・動的な知識体系論
ヴォルフvsカント
補論―論理学的観点から)
第2論文 『ドイツ啓蒙の哲学者クリスティアン・ヴォルフのハレ追放顛末記』補遺―マールブルクからハレへ、ヴォルフの大学論(マールブルクからハレへ;ヴォルフの大学論)
資料 クリスティアン・ヴォルフ『真理の認識における人間知性の力ならびにその正しい使用についての理性的考察』