内容説明
日露戦後から第一次大戦期にかけての帝国議会周辺。そこには、“真の”議会政治の実現を求める一群の若者―「院外青年」―たちの姿があった。「青年党」を拠点に展開された彼らの政治運動の実態を、地域における若者の動向や、前後の時代との関連性も視野に入れつつ解明する。「青年」研究と「大正デモクラシー」研究を架橋する“若者と政治との関係史”という新たな試み。
目次
「院外青年」運動研究の視座と射程
第1部 通史的研究(日露戦後における若者と政治との邂逅―「院外青年」の登場;世代経験としての大正政変・シーメンス事件―「院外青年」運動の出発;第二次大隈重信内閣期における「院外青年」運動とその転換;寺内正毅内閣期における「院外青年」運動の再興;第一次大戦後における「院外青年」運動の収斂と拡散)
第2部 各論的研究(「青年」と既成政党―立憲国民党を事例として;「院外青年」と地域係争問題―橋本徹馬と愛媛県新居郡における産米検査問題を事例として;「院外青年」運動の男性性―立憲青年党と和田(奥)むめおを事例として
「院外青年」の行方―昭和戦前期における個人史的考察)
「院外青年」運動研究の成果と課題
著者等紹介
伊東久智[イトウヒサノリ]
1978年富山県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、早稲田大学文学学術院講師(任期付)。専門は日本近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
20
院外青年:帝国議会周辺(院外)に簇生した世代的政治集団と一群の若者たち。◆本書は日露戦後〜第一次大戦期に展開された院外青年運動の実態解明を主軸に、自由民権運動と学生社会運動・地域青年党運動との関連性も問うことで、若者と政治の関係史の一連の流れを示している。総論で提起された"「大正デモクラシー」とナショナリズムの癒着関係"について、院外青年運動との関連も各論でいくつか提示されているが、ここは重要な部分であり、もう少し踏み込んでほしかった。それでも超党派での世代的紐帯などは大変興味深い分析がなされている。2020/01/23