内容説明
1920~30年代の近代朝鮮における中等教育を、朝鮮総督府の政策、朝鮮人社会、生徒の三者について、一次資料を用い多角的な視点で論じる。植民地時代、朝鮮総督府の教育政策が本格的に始まったこの時期をクローズアップし、人々の「葛藤」の実態をここに明らかにする。
目次
近代、植民地、そして中等教育
第1部 1920~30年代高等普通学校・女子高等普通学校の教育実態(第二次朝鮮教育令制定と高等普通学校・女子高等普通学校;高等普通学校・女子高等普通学校の設立をめぐって;高等普通学校・女子高等普通学校への進学―競争率と入試問題;授業内容及び教科書;卒業後の進路)
第2部 第二次朝鮮教育令施行期の学生運動(学生と民衆―ハングル普及運動;同盟休校と光州学生運動)
近代朝鮮の中等教育とは
著者等紹介
崔誠姫[チェソンヒ]
1977年北海道生まれ。2015年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。現職、一橋大学大学院社会学研究科特別研究員、高崎経済大学ほか非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
15
朝鮮での植民地教育が本格的に展開される1920〜30年代の第二次朝鮮教育令施行期において、将来のエリートであった高等普通学校・女子高等普通学校の朝鮮人生徒たちと社会との関わり、この時代の朝鮮社会での教育の実態、総督府の教育政策などを明らかにしている。注目したのは識字率向上のためのハングル普及運動。朝鮮日報社の「文字普及班」と東亜日報社の「ヴ・ナロード運動」の具体的な運動実態と、中等教育機関に在籍する生徒たちが果たした役割。総督府が警戒感を持ち運動の主導権を徐々に奪取する経緯は興味深いものがある。2020/03/28