内容説明
スーダン・ダルフール支援の実態に迫る。難民の2倍存在する国内避難民を、国際社会はどう保護し、支援できるか?フィールド・ワークから得られた知見をもとに、彼らの日常から考える。
目次
国内避難民とは誰か
第1部 理論編 国内避難民と国際社会(東西冷戦以前の人道支援;ポスト冷戦期の新しい潮流)
第2部 事例編 スーダン・ダルフールの国内避難民と人道支援(スーダン・ダルフールと国際社会;国際的支援の受け手が織りなすローカルな社会―ダルフール・モルニ国内避難民キャンプより;新しい食糧支援―プロジェクト・ドキュメンテーション)
第3部 考察編 理論と現場の融合を目指して(国内避難民への人道支援を振り返って―事例の分析及び仮説の考察)
これからの国内避難民支援に向けて
著者等紹介
堀江正伸[ホリエマサノブ]
武庫川女子大学文学部英語文化学科教授。1992年慶応義塾大学経済学部卒業後、株式会社大林組入社(2005年まで)。2005年国際連合世界食糧計画(WFP)入所(2017年まで)。インドネシア・西ティモール、スーダン・ダルフール、フィリピン・ミンダナオ、イエメン、アフガニスタンにて勤務。2008年日本福祉大学大学院国際社会開発研究科修士課程修了。2016年早稲田大学社会科学研究科博士後期課程修了(博士(学術))。2018年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
著者は国連世界食糧計画(WFP)での勤務経験のある研究者。難民には難民条約という国際的に保護する国際法が存在する一方、国内避難民に対しては人権という概念を中心にした規範や制度を発展させることで対応してきた。◇本書は国際人権支援機関の活動の歴史的経緯や枠組みの解説に加え、著者が援助活動に従事したダルフールの難民キャンプでのフィールド調査で目にした様々な問題点も取り上げ、人道支援に関する理念・政策・実践を多角的に考察している。現地社会構造の理解不足での援助が引き起こす問題点は参考になった。2020/03/14
テツ
12
ダルフール紛争による難民たち。ジェノサイドから逃げた先に希望が約束されているわけではない。人道的な支援に完璧な回答など存在せず、まさにあちらを立てればこちらが立たず。更にそこに利権やらメンツやらが複雑に入り混じり、どうやっても簡単に解決することはない。それでもそうした悲惨な世界とリアルに対峙する前線の人間はみな最善を尽くし懸命に己の成すべきことを積み重ねている。百点の回答がないからこそこうした問題について個人個人が興味を持ち考え、なるべく良い着地点を模索していくしかないんだよな。世界は平和じゃない。2021/03/25