内容説明
プラトンの一なるイデアは多でもあった。プラトン後期的ディアレクティケーの分割と総観の方法は、多くのものから一なるイデアを総観すると共に、一なるイデアを多に分割する。プラトンのイデア論イメージを一新するアポリアへの解答。
目次
序論 プラトンのディアレクティケー
本論 プラトンの後期的ディアレクティケー(後期的ディアレクティケーの二つのアスペクト―自体性と関係性;第三人間論とアンチノミー;イデア不可知論と「瞬間」;『パルメニデス』篇における全体と部分のアポリア)
総括 これからのプラトン研究(プラトン解釈の適切さの基準―対話篇同士のつながり;プラトン哲学における中期と後期の区別;これからのプラトン研究のあり方)
著者等紹介
松浦明宏[マツウラアキヒロ]
1962年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程(後期)修了。中京大学国際教養学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鵜殿篤
1
痒いところに手が届くありがたい本だった。イデアには「多性」もあると専門家に断言してもらって、しかも「一性/多性」=「本質/関係」という図式も示してもらって、個人的にはとても助かるのであった。 本書ではもちろん一切言及されていないが、この考え方は明らかにキリスト教の「三位一体」と同じ発想に基づいている。三位一体とは、神の本質は一つだが現れ方は3つあるという教義だ。後期プラトン→新プラトン主義→キリスト教神学という流れを踏まえると、本書の主張はキリスト教三位一体まで射程距離に入れて考えてもいいような気がした。2020/03/22