内容説明
禅・儒・歌の思想が入り交じる中世に身を置いた世阿弥は、その教養を元に伝書を遺した。「初心を忘るべからず」「無心の感」「花」などの彼の言葉の奥底には、時代の中で抱えた伝えをめぐる葛藤が刻まれていた―伝書の精読から世阿弥の語りの深層に迫る。
目次
第1部 ことの起こりとしての思想史研究(「初心不可忘」の源;変容する「感」;偈を読み替える世阿弥―「花情」をどう読むか;『毛詩』を読み替える世阿弥―「正しき感」をめぐって)
第2部 問われたこととしての思想研究(能における「芸術」性の根源;世阿弥の禅語が捉えていたもの;世阿弥伝書の根本問題;見手が「感」ずるということ―謡曲“忠度”を例にして)
著者等紹介
上野太祐[ウエノタイスケ]
1983年川崎市生まれ。2015年一橋大学大学院社会学研究科博士課程後期修了。現在、神奈川大学、放送大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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