内容説明
グローバル経済の浸透によって、エコロジーも地域社会も健全さを喪失しかけている。人々の生活やなりわいを見つめなおし、社会から離床した経済をふたたび地域へ埋め直す。
目次
多彩に広がるコモンズ論―人間社会の修復・再生・創造にむけて―
第1部 コモンズ論再考―日本と北米の展開―(「コモンズ論」の源流を探る―「日付」のある考察―;北米コモンズ論の系譜―オストロムの業績を中心に―)
第2部 コモンズ思想の発現―自治を育むエコロジー―(コモンとしてのエコロジー―E.スワローのオルタナティブ―;地域通貨の思想―エントロピー経済学からの視点― ほか)
第3部 コモンズの再生・創造―現実と理論の相克―(海を創る、森を創る―漁民の森づくりと地域管理―;フットパスの創造とツーリズム―熊本県美里町の地域づくりと生業の可能性― ほか)
第4部 コモンズ論と環境ガバナンス―「公」・「共」・「私」の再検討―(伝統的コモンズと法制度の構築―裁判例にみる財産区制度の可能性と限界―;ガバナンス時代のコモンズ論―社会的弱者を包括する社会制度の構造― ほか)
著者等紹介
三俣学[ミツマタガク]
1971年愛知県生まれ。2004年京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学。現在、兵庫県立大学経済学部准教授。その間、リヴァプール大学マンクス研究所客員研究員(英国)、エヴァーグリーン州立大学(米国)交換教員派遣(2011年度)を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひつまぶし
2
よく分からない議論もあったが、これまで読んだ中では一番良かった。漁民が森づくりに携わる取り組みではコモンズが新たな価値の創出である点が示されていた。フットパスの事例ではマイナー・サブシステンスの視点が組み込まれている。河川敷の管理をめぐってホームレスが排除される事例を取り上げた第11章は貴重な議論だ。エントロピー学派やエコロジー、地域通貨などの議論も、直接的には使いにくいが、コモンズ論の背景としては興味深かった。タイトルにエコロジーとあるが、作り出すものとしての都市のコモンズの議論の萌芽が見られる。2025/11/19




