内容説明
ヘンリー・シジウィックは、ヴィクトリア後期に活躍したイギリスの哲学者であり、ベンサム、J・S・ミルに続く、傑出した古典的功利主義者として知られる。本書の目的は、これまで注目されていないシジウィックの経済思想を通じて、経済学と哲学の関係を考察することである。
目次
第1章 ヘンリー・シジウィック
第2章 客観的な道徳原理とは何か―『倫理学の諸方法』(一八七四年)
第3章 経済学におけるサイエンスとアート―『経済学原理』(一八八三年)
第4章 政府のなすべき役割とは何か―『政治学要論』第1部政府介入論(一八九一年)
第5章 望ましい政治体制とは何か―『政治学要論』第2部政治体制論(一八九一年)
第6章 シジウィックと現代
著者等紹介
中井大介[ナカイダイスケ]
1979年東京生まれ。2002年九州大学経済学部卒業。2007年大阪大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。2007年近畿大学経済学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
3
「シジウィックを魅了した功利主義の強みは…人生の目的を、何らかの恣意的な徳目ではなく、快楽や幸福というより包括的な一般的な理念に定める…しかし、個人の幸福追求が他人や社会の幸福と衝突するならば、一体どのようにして解決すれば良いのか。ミルの用意した回答は…個人の内面で私的幸福と一般幸福とが一致するというもの…しかしこれでは、一般幸福や全体善のために、個人に自己犠牲を要求する…シジウィックは、単に自己犠牲を優先させるような道徳感を牽制する一方…倫理学説を洗い直し、利己主義や直観主義の重要性を改めて認識する」2024/07/10