内容説明
京都は「みやこ」であると同時に、人びとの暮らしの場でもある。長い間はぐくまれた門前町の暮らしは、社会の変動とともにどのように変化しているのか。本書では、地域社会の歴史、文化、宗教、経済、産業、コミュニティ、生活などの社会的な視点から、京都の「現在」を明らかにする。
目次
第1部 門前町の歴史と文化(本願寺門前町の成立;京都東西本願寺門前町の形成過程と変容―近世寺内町から近代門前町へ;東西本願寺門前町の書肆の成立と展開)
第2部 人びととコミュニティ形成(本願寺門前町の息吹―五感の地域学の試み;東本願寺寺内の景観―東西両本願寺門前町の景観の歴史的前提として;東本願寺門前町の商いと宗教的ネットワーク;銭湯にみる地域外出身者と地域社会の変遷;本願寺門前町と稲荷祭)
第3部 地域経済と商人(門前町の町づくりと旅館・ホテル業;詰所とその宗教的機能;京仏壇・仏具業の現状と将来;統計にみる東西本願寺門前町の現代史)
著者等紹介
河村能夫[カワムラヨシオ]
1944年生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了。Development Sociology Ph.D.(コーネル大学)。龍谷大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chang_ume
7
東西本願寺寺内町の変遷、地域内産業(書肆、旅館ホテル・詰所、仏壇仏具、銭湯)を歴史学・社会学の各視点から論じた内容。朱印地支配権を近世寺内町の根幹として、近代上知政策によってそれが終焉したことで近世寺内町から近代門前町に性格変化したとする渡邊論文、イエ的支配と開放的空間からなる「門前」の歴史的前提をもとに東本願寺寺内町の性格を意味づけた堅田論文など。区画配置(外郭線の有無も)や産業分布など、東西本願寺の両寺内町がかなり特徴が異なることがわかった。近代以降の構造変化も見逃せない。2024/12/01
アメヲトコ
5
京都の東西本願寺の寺内町(近代以降は門前町)に関する共同研究。寺内町の構造から、書肆や商店、銭湯、宿泊施設、仏壇仏具などのさまざまな商業にもスポットが当てられます。もっとも本書の刊行は2007年で、そこからの15年の京都の変貌を思うと、ここでの調査内容自体がすでに一部は歴史となっている感じもします。2022/07/16
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