内容説明
カントの『道徳形而上学の基礎づけ』を読み解こうとする一つの試みである。カントは本書において、常識の中に含まれている道徳的判断の特質を取り出し、それを純化することによって、道徳の基礎を確立しようとした。カントの思想にいくらかでも近づき、また倫理学がどのようなものとして存立しうるかを、考える。
目次
第1章 道徳の本質(倫理学の位置;善い意志;義務の概念)
第2章 道徳の原理(道徳の純粋性;定言命法;第一法式―自然法則との類比;第二法式への移行;第二法式―人間性の理念;第三法式―自律の原理;目的の国;総括)
第3章 道徳の根拠(自由な意志;関心―人間存在の二重性;定言命法はいかにして可能か;実践哲学の限界)