つなみ―THE BIG WAVE

つなみ―THE BIG WAVE

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  • サイズ B6判/ページ数 103p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784770501905
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

津波で、家も家族も失った少年。その少年を暖かくつつみ、命に対する深い智恵と愛情をもって再生を助ける人々──。日本を舞台にして、ノーベル賞作家パール・バックが描いた死と再生の物語。
「大きな苦しみを背負ってしまった人を、どうしたら支えられるのか」という問いに対する明快な答えを、パール・バックがいま、時を越えて私たちに教えてくれる。
『ごんぎつね』の黒井健の、あたたかい、やわらかなイラストは、私たちの心にゆっくりとしみこみ、生きていることの喜びを静かに伝えてくれる。
死が身近でなくなったいま、私たちは大切な人を失って絶望に沈む人を癒す智恵を失いつつあるのかもしれない……。


 この日本についての物語は、私の思い出から生まれたものです。かつて私は、海辺の丘の中腹にある小さな日本家屋に住んでおりました。ある夏、津波がやって来て、浜辺の村が流されたのです。ですから、キノとジヤのこの物語は、本当にあった話だといえるかもしれません。──パール・バック


家を失い、愛する家族を失った人々を前に、かける言葉もなく立ちつくすだけの私たち。死を身近に感じることがほとんどなくなったいま、私たちは、大切な人を亡くして絶望にあえぐ人々をつつみ、支えるだけの智恵を失ってしまったのかもしれない。
死ぬこともできないほどの絶望を抱えながら、人はどのようにして生きる力を取り戻していくのだろう。どうしたら私たちは、それを手助けすることができるだろう。
地震大国日本に住み、何度も地震やつなみに襲われている私たちは、またいつ何時、逆らいがたい力に愛する者を奪われるかしれない。地球という星の圧倒的な力のまえで、人間が為しえることは本当にわずかなことだけだ。
しかし、それでも命は受け継がれ、脈打って流れゆく。この本を読み終わったとき、私たちのなかにあふれるのは、はかない命を生きる私たち人間に対する静かな共感と深い愛である。人間は哀しい。けれど、人間はすばらしい……。

内容説明

ある日突然村を襲った大津波によって、家も、家族も奪われ、独りぼっちになってしまった少年ジヤ。しかし彼は、周囲の人々の暖かい愛情に包まれて成長し、やがて再び海に立ち向かってゆくのだった…。ノーベル賞作家パール・バックが日本を舞台に描いた、大自然と共に生きる人々の生と死、そして愛を、優しく澄みきった、情感溢れる黒井健のイラストレーションにのせて贈ります―。

著者等紹介

バック,パール・S.[バック,パールS.]
1892年ウェスト・ヴァージニア生まれ。生後3か月で中国に渡り、18歳まで、中国で育つ。その後アメリカの大学に入学するが、再び中国へ戻り、執筆活動を始める。31年『大地』でピューリッツァー賞受賞。38年ノーベル文学賞受賞。1973年死去

黒井健[クロイケン]
1947年新潟市生まれ。新潟大学教育学部卒業後、学習研究社に入社し、2年間絵本の編集に携わる。退社後フリーのイラストレーターになり、83年第9回サンリオ美術賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

42
まず、本の装丁と造作がすばらしい。手になじみやすい小型の本だが、表紙はハード、黒井健さんの絵が優しくも迫力があり、1冊の芸術作品と言いたい。しかも作者はパール・バックで、日本に滞在した経験もあることを知って驚いた。1947年に書かれた物語を、1988年に日本で刊行、さらに2005年径(こみち)書房が復刊した。訳文から5人の翻訳陣の健闘が伝わる。米国生まれ中国育ちのパール・バックが、日本人の死生観や自然観を深く理解していたことにも驚いた。キノとジヤ、二人の少年の成長に涙し、新しい生活に拍手。2020/03/24

ちはや@灯れ松明の火

42
忘れることなどできないと思った。乗り越えられるか分からなかった。海と共に生きながら、奥底に潜む怒りを恐れていた漁師の子。寄せて返す波のように続くと思っていた日々。大地が、唸り声を上げた。家族も家も、目の前で、荒れ狂う波が刹那の瞬間に奪い去っていった。魂までも攫われそうになった彼を繋ぎ止めた、あたたかく、力強く、優しい手。時が繰り返し流れても、忘れはしない、喪われた面影は少年の中で生き続けるから。海が、故郷が、彼を呼ぶ。ここが還る場所だと。広がる水面をまっすぐに見据える。立ち向かい、乗り越えていくために。 2011/10/17

Maiラピ

34
津波で、家も家族も失った少年。その少年を暖かくつつみ、命に対する深い智恵と愛情をもって再生を助ける人々を描く。日本を舞台にして、ノーベル賞作家パール・バックが描いた死と再生の物語。 THE BIG WAVEとしてアメリカで出版されたのが1947年。日本語訳がすばらしく、当時の日本人の死生観と自然観を生き生きと表現している。それは現代の日本人とは一見乖離しているように思えるが、コアの部分は今も不変で共鳴する。絵は黒井健。絶対おススメ!!2012/03/20

コニコ@共楽

23
日本は火山国、海に囲まれた島国。多くの恵みをいただいてきているけれど、時として不条理な災害に見舞われることもあります。「つなみ」はそんな突然の災害に静かに力強く生き抜いていく人々が描かれた本でした。やわらかなのにしっかりとした意志を感じられる黒井健氏のイラストが心に残ります。自然を受け入れる境地をつづったのが日本人ではなく、パール・バックだというのが驚きでした。彼女の本を読んだことがなかったので、是非今度は「大地」を読んでみたいです。2020/06/30

絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく 

17
前書きに<この日本についての物語は私の思い出から生まれたものです。かつて私は海辺の丘の中腹にある小さな日本家屋に住んでおりました。ある夏、津波がやって来て、浜辺の漁村が流されたのです。ですから、キノとジヤのこの物語は本当にあった話だと言えるかもしれません。>パール・S・バック女子は日本で津波を経験していたんですね。このことにも驚きましたが、女子を調べると、伊藤慶之助デザインの平和の塔には女史の手紙が刻まれているそうです。原書は1947年発刊。こちらは『大津波』黒井健さん挿絵で復刊。2020/03/14

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