出版社内容情報
1年ほど前、「おいしい」のサインをしている愛子さまの写真が新聞に載ったことがありました。雅子さまも『ベビーサイン』を読んでいらっしゃるはずなので、きっと愛子さまにもお教えになったのでしょう。
さて、「ベビーサインに決まった形はないので自由にサインを作ってもいい」と、『なぞなぞどうぶつえん』の紹介のところで書きました。
ここでは、赤ちゃんが作るベビーサインについて説明しましょう。
そうです。サインを使えばいろいろなことが伝えられるとわかると、自分でサインを作ってしまう赤ちゃんがいるのです。
そもそも、ベビーサインを最初にやりだしたのは赤ちゃんのほう。二人の博士は、赤ちゃんがサインを使ってなにかを伝えようとしていることを「発見」したのであって、サインを「発明」したのではありません。
つまり、二人の博士は、自分の研究のために赤ちゃんを注意深く観察していたら、赤ちゃんが手を動かしてなにかを伝えようとしていることに気がついた。そこでそのような赤ちゃんの動きに、「ベビーサイン」という名前をつけて研究を始めた。
ベビーサインはそうやって発見され、研究されて、赤ちゃんの発達を促す目的で利用されるようになったのです
『ベビーサイン』を翻訳し、この絵本の文も書いた、たきざわあきさんの体験を紹介したい。
たきざわさんが1歳になったばかりの娘に自分のおっぱいをあげていたとき、おっぱいを飲んでいた娘が、突然、自分の頬を軽くつつく「おいしい」というベビーサインをしたというのだ。仕事から疲れて帰ってきて、めんどくさいなあと思いながらおっぱいをあげていたときだったらしい。たきざわさんは、このときのことを「決して忘れられません」と、『ベビーサイン』の「訳者あとがき」で書いている。
そうだろう、そうだろう。私は、その話を聞いただけでジーンとして、思わず泣きそうになってしまったもの。
たきざわさんには息子もいるのだが、その息子はしかられたあと、自分の頭をげんこつでたたくベビーサインで「ごめんね」と言いながら抱きついてきたという。
……そんなことされたら、しかれなくなっちゃうよね。
もう少し、ほかのお母さんの話。
彼女は家の鳩時計が鳴るたびに、耳に手をあてる「聞こえる」のサインを1歳の息子にしてみせていた。あるとき息子と外を歩いていたら、遠くから赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。と、突然、息子が「聞こえる」のサインをして、お母さんのちゃんと遊ばせてもらうしかない。
娘よ、早く孫を産んでくれ。
(4)に続く。