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内容説明
中年の作曲家が、突如現われた若い不思議な娘とソフィアの夜をドライブする。男は妻と別居中、娘は精神病院を抜け出してきたのだった。娘は異常な幼児体験から後遺症を病んでいたが、特別な才能と、抗し難い魅力の持主で、作曲家の生活に入り込んでくる…。大人のメルヘンともいうべき表題作のほか、上司に忠実なあまり、己を失った役人の悲劇を、ゴーゴリ風のタッチで描いた『ある幽霊の話』を収める注目の現代ブルガリア小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
5
2篇収録。「ある幽霊の話」では官僚組織に生きる中間管理職の哀しさよ。会社小説として秀逸な一編。「消えたドロテア」はメルヘンと呼ぶには少々生々しい。常識世界に生きる男が出会ったのは、夢の世界に生きるドロテア。彼ら二人は水と油のようでありながら、次第に音楽を結点として一つに溶けていきつつあった。夢に生きるものは、常に現実との過酷なせめぎあいに生きているのだろう。彼女だけではなく、敏感な精神を持った芸術家や、今にも切れてしまいそうな神経を持った人々が、人も寝静まった夜中に街々を見下ろしている様子が瞼に浮かんだ。2013/06/24
nukuteomika
0
離婚をめぐる問題に深く傷ついた作曲家が、心に傷を持つ少女と交流するうち、彼女の持つ不思議な能力と魅力に惹かれていく。ラストが哀しい2010/07/28