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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よむよし
105
圧政にもかかわらず貧しい中にあって逞しくも明るく生き抜く農民の人達の姿が生き生きと描かれる。国境付近でブルガリア人とは日常的に交流があった。しかし戦争が始まると彼らが来なくなり消息では、よく知る名前が次々と消えていく。「おれたちゃ、ブルガリア人にどんなうらみがあるんだい?友達だったじゃねえか…あいつら生きてりゃ戦場で顔をあわせるところだったぜ。こんな恥ずかしいことがあるもんか。お互い殴りあい、撃ち合わにゃならなかっただろうよ…」美しく、温かい人間性のほとばしりです。歪められた民族意識や偏見とは無縁です。2024/02/24
isuzu
1
とてもよかった。とっちらかっているようで何かゆったりとした大河の水面のきらめきから底にたゆたう泥の靄、川に投棄されたきたないものたち、蠢く魚や小虫たちまでをひとつひとつ掬いあげた大きな流れを見せられたような。まさに「大河小説」にふさわしい豊かさのこめられた小説だと思った。貧しい農民の生活が目の前に迫るように書かれています。悲惨で、豊かで、においの濃さまで手触りをもって感じられるかのようです。/でも検索しても殆ど作者の情報が出ない……元・共産主義国のベールの厚さを思い知る。ノーベル賞候補だったらしいのに。2014/08/30