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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
乙郎さん
10
ポーランドの作家による作品。表題作は映画化もされ『エクソシスト』などに与えた影響も強い。内容は、キリスト教の「愛」を行き詰めた先は、キリスト教の教義をも否定するのではないかというもの。登場人物は教義や、歴史の流れなどに翻弄されつつもそれぞれのかたちで信仰を深め、そして悲劇的な結末を迎える。しかし、そこには充分、精一杯生きたという感触もあり、不思議なカタルシスを覚える。変調を来した内面が描かれる側に流麗な自然の描写があったり、何というか文体に生命力がある。この感じ、ラース・フォン・トリアーの映画に近い。2024/02/19
twinsun
8
「スカリシェフの教会」はカザンツァキスの「兄弟殺し」をさらりと流したような味わい。「尼僧ヨアンナ」のスーリン神父、「台所の太陽」の人生を終わらせる暴走は無垢の他者を巻き込み痛々しい。セムジア平原のアンの物語は彼女の諦観に一抹の救いがある。「ウトラタの水車小屋」は人の人生に人は信じられない巻き込まれ方をすると教えてくれる。いずれも温かい読後感はない。それぞれの登場人物の過酷な運命が必然的なものでなく選び取ったかものであるにも関わらず、それが制約と絶望の中においてなされたからであろう。2022/01/02
tindrum
1
映画はヴィジュアル的にちょっと面白かったけど,全体にダラダラして退屈だなぁと思って、原作はどうなんだろうと好奇心起こして読んでみた。が、これが無駄なくピシッと締まった好短編なのでびっくりした。何か余計に付け加えているのかと思ったが、映画のストーリーと小説のプロットは,ぴったり一致してた。何が悪かったんだろうと思って比較してみたら、原作では「彼女は歌った」と一行で済ませているところを、映画ではワイングラスを持たせて、長々とフルコーラス歌わせている。この辺なのだろうな、と思った。2015/11/23
888
0
「尼僧ヨアンナ」でのスーリン神父がとても利己的に感じた。「台所の太陽」の主人公も利己的だが、こちらは納得できる。2013/08/23
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