東欧の文学<br> その男ゾルバ (第4版)

東欧の文学
その男ゾルバ (第4版)

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  • サイズ B6判/ページ数 387p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784770402103
  • NDC分類 991
  • Cコード C1397

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

300
やや珍しい現代ギリシャ文学。小説の主人公もまた意表を衝く。なにしろ、ゾルバは登場してきた時に既に65歳である。読者もゾルバに感情移入はしにくいだろう。カザンザキスは当然それがわかっているために、物語の語り手の「私」の視点を通して、私たち読者もまたゾルバを、そして事柄の推移を追体験することになる。その「私」は35歳。この小説の構造は、そんな風にすべからく二元論で成り立っているかのようである。万事に刹那的な快楽主義者のゾルバ。サンドゥリは、その象徴であるかもしれない。そして、一方には「本の虫」たる「私」⇒。2023/11/12

ケイ

137
思うことはたくさんあるが、ゾルバに頭で物を考えるな、筆を取るな、いい加減にしなさいよと言われそうだ。観念的で頭でっかちな書き手と、自分の人生や身体で哲学を示すゾルバ。表と裏。相反する二人が出会うとピタリと合う。ゾルバを通して作者が言いたいことは、カンディードの想いに近い気がした。書き手は1日思索をして過ごし、炭鉱で働いてきたゾルバが日をおこして料理したものを二人で食べ、ゾルバの話を書き手が聴く。ゾルバはすべての人の癒しだ。読後にすぐに二度目を読んだ。ゾルバの言葉を聞いていたかった。今後も何度も読むと思う2017/01/16

まふ

112
ギリシャ、クレタ島の男の物語。クレタに向かう船待ちの時にゾルバという男と知り合った。それからずっと彼とクレタで付き合うことになる。語り手の「私」は作家志望であり島の炭鉱を買って鉱山業を営む経営者でもある。ゾルバは一見天衣無縫だが体で考え体で実行する自然派であり、インテリの「私」よりもはるかに正しい叡智を示して「私」を感動させる。村の元踊り子の後家さんと大らかな愛を奏でたり屈託がなく、「私」のようなインテリは「愚かさが足りない」と笑う。全編通して「男」の匂いに溢れた痛快な物語であった。G1000。2024/02/05

NAO

64
ゾルバと主人公の関係は、「インテリ」対「土着の人間」。「静」対「動」。この話は、都会のインテリと土地に根差した人間との触れ合いの話だが、この「土地に根差した人間」というキーワードは、かつては繁栄をほしいままにしていたもののその後はイタリアやトルコといった大国に虐げられ続けているギリシヤという国においてとても重要だ。不屈の精神を持ち自由に強い憧れを持っているゾルバは、自分がギリシヤ人であるという誇りと自由への憧れがあり、彼は、自由が欲しければ自分で行動するしかないと考えている。2018/07/30

syaori

56
出会いの時から、ゾルバに魅了されてしまいました。「生きた心」を持つ男、「飢えたことも、殺したことも、盗んだり姦通したりしたことも」ある、自身の重みで大地にしっかりと立つ人間に。働いてがつがつと食べ、飲み、女を訪ねるゾルバとのクレタ島での生活。その中でゾルバは何とたくさんの生きる喜びと、「自分の重さをのり超えようとする」、自由でいる勇敢さの一端を見せてくれたことでしょう。悲しいことに「愚かさ」の足りない自分は彼のようには生きられないので、せめて彼の面影が自分から離れないよう願うばかり。あの偉大で野蛮な魂が!2019/03/04

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