出版社内容情報
マアナゴは,江戸時代から握り寿司や天ぷらとして食され,毎年初夏になるとテレビや釣り雑誌で取り上げられる馴染みの深い魚である.しかしながらその生態は謎に包まれていた.そこで,1997年にアナゴ漁業資源研究会が開催され,多くの研究成果が積み上げられ解明されてきた.最も大きかったのはマアナゴの産卵場の発見である.また,日本各地の沿岸や沖合で漁獲されるマアナゴをはじめとしたあなご類の資源の評価,管理は持続的な利用を考えるうえで示唆に富んでいる.各地の事例をもとに具体的に紹介するとともに、今後の展望を探る.食文化や流通などにも言及し、コラムも交えながらアナゴに関する多様な話題を簡潔に1冊にまとめられている。
目次:第1章 マアナゴを含むクロアナゴ属の分類とマアナゴの個体群構造(クロアナゴ属の分類学(波戸岡清峰)/クロアナゴ属魚類の分布(片山知史・黒木洋明・秋山清二)/遺伝子マーカーによる集団構造(望岡典隆)/コラム1 CT 画像からみるマアナゴのカラダ(東海 正)/コラム2 葉形仔魚 leptocephalus の読み方(望岡・黒木・片山)) 第2章 資源調査から解明されたアナゴ類の生態と生活史(産卵場と初期生態(黒木・片山・望岡)/年齢,成長,移動,食性(片山知・下村友季・五利江重昭・鍋島靖信)/蓄養と飼育(鍋島・堀江則行)/コラム3 マアナゴの年齢査定法(片山)) 第3章 マアナゴ漁業,資源動態,資源管理(日本におけるマアナゴ漁業(片山・東海)/マアナゴ漁業・漁具の特性と小型魚保護(東海・清水詢道・内田圭一)/内湾域の貧栄養化の影響(曽根亮太・反田 實)/コラム4 東京湾あなご筒漁の先駆者・斎田芳之氏(内田)) 第4章 あなごの食文化と流通(江戸期以前の文献や資料にみられるマアナゴ(東海)/あなごの食文化と流通(片山)/築地・豊洲におけるマアナゴの流通(片山・東海)/ペルーにおけるマルアナゴの生産状況と輸出実態(三橋廷央)/コラム5 マアナゴ食文化を支える「あなごめしうえの」について(片山)/コラム6 対馬のあなご(望岡))
【目次】