出版社内容情報
「本書は、価値判断の構造の分析というアプローチにより、厳密な理論に基づいて価値論の基本問題を体系的に追究した著書である。メタ価値論上の従来の諸学説を止揚した広義の自然主義の立場に立ちつつ、「善」の概念を解明し、ある価値判断には客観性を認めうる旨を提示する。その理論構成は、最新の脳生理学の知見からも支持されうるものである」
<東京大学名誉教授(法哲学・社会哲学国際学会名誉会長)碧海純一>
「かつて法哲学において一世を風靡したメタ倫理学には、未だ厳密な意味で解決されていない問題が少なくないけれども、時代の趨勢は実質的正義論にすっかり移行した感がある。そのような状況の中、小林誠『価値判断の構造』(恒星社厚生閣)は、価値判断について真偽が問えることを著者独自のアプローチにより示そうとする意欲作である。倫理が人間の情緒的反応という事実を基礎にしている以上、「倫理学の科学化」は可能であるとの見方に立つ著者は、自然主義に近い独自の立場から、「善」や「真理性」の概念を精緻化する一方、自然主義的誤謬という批判の論駁に精力を傾ける」
<服部高宏氏(京都大学法学部教授)評(『法律時報 特集:一九九八年学界回顧』70巻13号〔1998年12月号〕、日本評論社、より)>
目次
第1章 序論
第2章 「善い」という概念についての基礎的考察
第3章 真理の概念
第4章 意味づけと心理写像
第5章 規範的意味における「善い」という概念
第6章 心理的意味における「善い」という概念
第7章 事実からの価値の導出について
第8章 本問題に関する各論的検討
第9章 心理写像と神経科学
第10章 私の立場とメタ倫理学の三つの類型との関係
第11章 結び
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