出版社内容情報
官僚制の定義とが及ぼす社会的影響まで論及
官僚制すなわちマンダリン,古代から現代にいたるまであらゆる社会体制を超えて人間の共同生活を支配してきた機構に関する研究で随一の古典的名著とされる小篇の全訳。今回の覆刻的上梓に際し,さらに訳文を彫琢し名著の名訳というに価する翻訳とした。
目次
1 官僚制の特徴
2 官吏の地位
3 官僚制化の諸前提と諸根拠
4 官僚制機構の永続的性格
5 官僚制化の経済的および社会的結果
6 官僚制の権力的地位
7 官僚制化の発展段階
8 訓育と教育との「合理化」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
85
マックス・ウェーバーの大著「経済と社会」の中から一部分を取り出したものです。学生時代に角川文庫で読んだ覚えがあります。ドイツの国家制度のもととなっているものであるり、日本の官僚制もそれにならったものだと思いました。官僚制に関するあらゆることが小さな冊子ですがまとめられています。とくに「官吏の地位」などだけでも公務員を目指す人には読んでもらいたいと思います(政治家を目指す人の必読書は「職業としての政治」ですが)。2022/11/09
吉岡
8
人類がさらなる幸福を求め、より能率的な官僚制や企業を求めるならば、それは完成された官僚制の求める、完全な遵従と個人という概念の放棄を満たすこと。 地球上において官僚制は最も優れた統治制度であり、今後さらに発展していくのは自明であるように思える。しかし、個を無くし、ただただ従うだけの世界に幸福はあるのか?2014/12/02
にゃん吉
4
それ以前の国家に見られた官僚制等の歴史的事実も参照しながら、近代的官僚制(公私)の特質、発達の状況等が分析されています。一般的抽象的な規範を前提とし、公平を旨とした即物的な職務の執行といった特質の指摘、近代的官僚制の発達と、近代資本主義、民主主義(近代的大衆民主主義)との親和性(ときとして相克)の指摘が興味深くありました。 2024/03/14
あ
3
官僚制とは、年功序列の出世、終身雇用の官吏により書類規則(専門知識)によって拘束される職務遂行が行われる制度である(法の合理的体系化が進む)。官僚制の前提として、国家の肥大化、貨幣経済および大衆政党の発達(量的)、行政の軍事、土木、司法から教育、警察(社会政策)の分野への(質的)変化があげられる。その根拠として交通通信の発達、機械的に職務を行うため(非人格化)に官吏の私的財産と分離した公の財産があること。またこのことは民主化の動きと相まって組織の永続的性格を齎す。 官僚の方々、コロナ後も国の存続を考えて!2020/05/27
あ
3
ヤスパースの「人類の教師」の科学の分野でも哲学的思索をした人として、挙げられていたので、再読しました。官僚制は、戦争で、国が負けてもなくならない。革命でも、クーデターでも変わらない。若者にとっては、何とも夢のない話ではありますが、民主主義との兼ね合いで、社会政策が積極的に行われるというのが希望です。2020/05/23