内容説明
没後7年、いまなお日本と米中韓を振り回す「死せる正日」。北朝鮮研究の第一人者が、機密文書など600点に及ぶ文献や独自インタビューから初めて浮かび上がらせた、2代目独裁者の「特異な人格」と世襲王朝の実像。
目次
第1章 不可解な「2つの死」
第2章 からいばりの少年
第3章 後継者への階段
第4章 工作機関の掌握と拉致
第5章 かすめ取った頂点
第6章 荒廃、そして核
第7章 未完の遺訓
著者等紹介
李相哲[リソウテツ]
龍谷大学教授。専門は東アジアの近代史・メディア史。1959年、中国黒竜江省生まれ。中国紙記者をへて87年に来日。上智大学大学院博士課程修了(新聞学博士)。98年、龍谷大学助教授。2005年から教授。中国の旧満州・日本統治時代の朝鮮半島の新聞史や、現代の韓国・北朝鮮情勢を分析した論文や著書が多い。日本国籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
52
想像以上に完成度の高い金正日の評伝。したたかな独裁者としての姿が伺える。体制の裏側から金日成を牽制しつつも支え、派閥闘争や北朝鮮版文革、拉致にも関わった。一方で寂しげな一人間でもあるらしい。趣味の芸術で自分の偉大さを猛アピールしているが、自分のコンプレックス(低身長で金正淑に似て美男子でない。)を隠すためなのかもしれない。『あなたがいなければ祖国もない』が虚しく聞こえてきた。著者は中国朝鮮族で、中国共産党の新聞記者をしていたが、朝鮮族についての実体験もなかなか面白かった。2021/10/17
ryotarocheak
1
金正日が権力を手に入れるまでの過程は、粛清と篭絡の連続であった。父である日成のスタイルとも似ているが、正日はそこに父の威光という切り札も合わせて使ったのだ。 鄧小平やゴルバチョフを見習い改革開放を進めていれば、北朝鮮の今日の状況はまた違った物になっていたであろう。2022/02/02