内容説明
開戦直前、密かに各鎮守府から選抜された二十六名の軍人。その任務は海軍初の落下傘部隊創設。命がけの降下テストを重ねて部隊を作り上げメナド、クーパン奇襲を成功させた指揮官の記録。黎明期の殉職者の続出、喧伝された敵中降下と白兵戦の真実、幻のB‐29基地突入計画など落下傘部隊の知られざる戦歴を描く。
目次
第1章 研究時代
第2章 訓練時代
第3章 メナド降下作戦
第4章 クーパン降下作戦
第5章 戦機を求める落下傘部隊
第6章 サイパンに散る海軍落下傘部隊
第7章 マリアナ降下作戦
付章 落下傘と落下傘降下
著者等紹介
山辺雅男[ヤマベマサオ]
昭和13年(1938年)、海軍兵学校卒業(66期)。昭和14年、霞ヶ浦空兼筑波空付、海軍少尉。15年、横須賀鎮守府第一特別陸戦隊分隊長兼横須賀航空隊付、海軍中尉。16年(1941年)、横須賀鎮守府第三特別陸戦隊分隊長。12月、比島ダバオに進出。17年1月、セレベス島メナド降下作戦に参加。2月、チモール島降下作戦参加、海軍大尉。18年、木更津海軍航空隊基地にて待機。9月、サイパン島に進出。19年2月、ラバウルへ進出、さらにトラック島に進出。昭和20年3月、第四十七警備隊分隊長。海軍少佐。昭和51年(1976年)、病没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
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帝国海軍落下傘部隊の育ての親であり最前線指揮官であった男の手記。海軍兵学校卒乍ら、専門は陸戦それも落下傘降下から始まるという危険極まりない任務をその黎明期、ダミーによる開傘実験を端緒に不開傘事故による人命の損失を乗り越え実践投入される苦難の日々。華々しい戦いは当初だけで戦局利あらずただの陸戦隊、あるいは潜水艦からの攻撃部隊となるも生き残ってしまった著者の記録に弾丸の飛び交う戦場の生々しさを感じる。しかし下級将校にすぎない著者でも陸軍を軽侮すること甚だしい表現あり。共に戦うべき陸海軍の連携の困難を感じる。2024/05/10