内容説明
フィリピン沖三百マイルの太平洋上で、敵潜水艦の魚雷攻撃を受けて乗艦沈没の憂き目にあった軍艦名取短艇隊百九十五名の生還の記録。食糧も、真水もなく、航海要具も持たず、十五日間も橈を漕ぎ続け、二十七歳の先任将校の決断、次席将校の補佐、隊員の団結で、死の運命を切りひらいた海の男たちの感動の物語。
目次
第1章 撃沈
第2章 漂流
第3章 決断
第4章 橈漕
第5章 暗雲
第6章 生還
著者等紹介
松永市郎[マツナガイチロウ]
大正8年、佐賀県三養基郡に生まれる。昭和15年8月、海軍兵学校卒業。練習艦隊(香取)、「陸奥」「榛名」乗組。「古鷹」分隊長、第六艦隊司令部付、「那珂」「名取」「葛城」、内海航空隊の各通信長をへて、岩国航空隊通信長のとき終戦。海軍大尉。平成17年3月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
52
「新装解説版」という文言に惹かれて購入。再読どころか幾度読んだことか。撃沈された巡洋艦の生存者たちが敵潜水艦の遊弋する海域を300マイルに渡って、飲料水もなく食事は乾パンを日にわずかという過酷な条件の下、カッターを昼は帆走、夜は10時間に渡って漕ぎ続けることで走破し整然と180余名が帰還するまでの実話。筆者は次席将校として先任小林大尉を称賛しているが、筆者をはじめそこにいた士官たちの機知と責任感、そして皆の生き残ろうという強い意思の成し得た結果だと読む度に感銘を受ける。2024/12/05
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