内容説明
人車一体―戦車を自らの分身と思い、満州の過酷な訓練で鍛えあげた一兵士が孤立無援の玉砕島サイパンで演じられた凄絶な“夜間強襲戦”の全貌をえがく。戦後三〇年、私財を投じて、悲劇の島の熱砂の中から赤錆びた戦車を掘り起こし、故国帰還を成就させた著者が、戦車兵の勇戦健闘の精神を現代に伝える鎮魂譜。
目次
第1章 鉄の勇者・その光と影
第2章 北境から南溟へ
第3章 地獄の島の死闘
著者等紹介
下田四郎[シモダシロウ]
大正12年5月20日、和歌山県に生まれる。昭和16年、陸軍志願兵として満州の戦車第9連隊に入隊。昭和19年4月、部隊とともにサイパンに上陸。7月7日、サイパン島玉砕の後、15ヵ月間のジャングル生活をへて終戦を知り、米軍に投降。その後、収容所生活を送り昭和22年12月末、復員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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好古
2
1/3が著者の戦場の体験、1/3が当時の戦況の概要、1/3が戦後にサイパンから九七式戦車を日本に"帰還"させる活動について書かれている。特に最後の帰還事業の項が一番熱量が感じられた。当時の遺書や戦車が再び日本に帰ってきた事に対する遺族の手紙の紹介などは、当事者にしかわからない感情があるのだと思わされた。短い本なのでタイトルの様な壮絶な戦記を求めて買うと肩透かしを食うかもしれない。興味深いのは米軍の収容所の様子。本書には出てこないがソ連は収容所でも階級を維持させたと聞く。本書の米軍は捕虜を平等に扱っていた。2024/07/07