内容説明
俺は生きる。「ダモイ(帰国)」の日まで。マイナス40度の酷寒と重労働と飢餓に耐え、愛する家族を思い、故郷の山河を夢見て生き抜いた元日本兵の苛酷な日々。凍土に斃れた戦友たちの墓碑銘。
目次
第1章 運命の岐路に立つ
第2章 夕陽は落ちて
第3章 異国の丘に死なず
第4章 嵐は吹き荒れて
第5章 望郷の思いの中で
第6章 虜囚の終わりに
著者等紹介
小松茂朗[コマツシゲロウ]
大正5年、長野県に生まれる。昭和18年、中央大学法学部卒。読売新聞社入社。東京新聞に転じ、社会部記者。19年、応召。満州孫呉電信隊に入隊。終戦にて、シベリアに抑留される。23年、帰還。東京新聞へ復社。社会部記者、支局長をへて社会部次長。52年、日本作家クラブ賞を受賞。平成10年12月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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昭和60年に出版された「シベリヤ黙示録」改題。新聞記者として勤めていた著者が徴兵され満州へ送られる。終戦を迎えるものの侵攻してきたソ連軍の捕虜となり、収容先のシベリアで強制労働に従事した。 厳しい自然や不衛生な環境、劣悪な労働で多くの兵士たちが亡くなっていく。 「軍隊は職業の見本市」という表現が繰り返される。 戦争末期、男性は片っ端から徴兵されており、軍隊にはあらゆる職業の人がいたのだ。 それぞれの兵士の顔は軍人や兵士というイメージからは程遠い。 シベリアから故郷へ戻れなかった人は数十万人いると言う。2023/02/22