内容説明
生存を望むべくもない東部ニューギニア戦線を生きぬいた末端兵士が描く凄惨な戦場の実態―飢餓に、傷病に、次々と戦友たちが斃れる中で、なぜ自分は生き残ることができたのか―自らのおかれた「運命」をふり返り、戦場における残虐性、そして人間の尊厳を赤裸々に綴り、戦争の愚かさを素朴に伝える感動の記録。
目次
第1章 軍人精神(すき焼きの味;明野飛行学校 ほか)
第2章 南方戦線(海と椰子林の郷;ブーツ飛行場 ほか)
第3章 密林彷徨(松の岬;密林 ほか)
第4章 戦争終結(日本降伏;鳥のスープ ほか)
第5章 内地帰還(女神の像;祖国の土 ほか)
著者等紹介
菅野茂[スガノシゲル]
大正10年、福島県生まれ。昭和17年、現役で仙台の陸軍航空教育隊に入隊。飛行68戦隊第2中隊に所属、14万余名の東部ニューギニア派遣軍の一兵士として転戦。昭和20年8月、終戦。翌21年1月24日、ニューギニアから帰国。平成16年3月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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dongame6
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1942年に陸軍に入隊し、航空隊整備兵として東部ニューギニアに派遣され、戦況の悪化によりウェワクの山中へ撤退することになった人の手記。1943年半ば、まだ航空戦が出来ていた頃の描写から、ウェワク内陸のジャングル内へ退避してからの転落への在り様が凄い。ジャングルで食うや食わずになっても軍隊の組織という物が生きているというのは現代の我々には奇異に見える。戦友が飢えや病に侵されて行軍中に倒れていく様や現地人の集落の世話になる様、終戦後にも収容所や野戦病院で苦しみ、祖国に帰れないまま倒れていく兵士たちの姿も悲しい2025/08/25




