内容説明
米潜水艦によって救助された、唯一人の生存者はなぜ沈黙するのか。一瞬にして二千余名の非戦闘員とともに撃沈された緑十字船「阿波丸」の悲劇の真相を追い、遺された者たちの“怒り”を活写する。終戦直後、アメリカに対する日本政府の優柔な姿勢と圧倒的な占領軍政策の下で戦時下に発生した事件の顛末を追及するミステリー。
著者等紹介
有馬頼義[アリマヨリチカ]
大正7年2月、東京に生まれる。学習院初等科より成蹊高校に進んだが、野球に熱中して退校となる。早稲田第一高等学院に転じたが、小説を書いて稿料を受けとったことがもとで、放校処分をうける。徴兵延期の特典を失い、昭和15年1月、召集されて満州に渡る。18年4月、除隊。帰国して同盟通信記者となる。隣組長、防空班長をつとめながら、反戦小説を書きつづけ、終戦を迎える。昭和29年、「終身未決因」により第31回直木賞を受ける。昭和34年、「四万人の目撃者」で探偵作家クラブ賞を受賞。「東京空襲を記録する会」理事。昭和55年4月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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