内容説明
ここに潜水艦魂の全てがある!潜水艦乗員は親しい中にも礼儀と信義は揺がず、そして、制裁のない特別な軍隊になっていた―伊25潜は北はアリューシャン、南はオーストラリア、東は米国オレゴン州まで、敵の領土深くに忍びこんで、敵の心胆を寒からしめた。太平洋戦争下の日本海軍潜水艦の戦いを描いた傑作戦記。
目次
真珠湾めざして
商船を撃沈する
空母を撃ちとる
ケゼリンの泊地
シドニー偵察行
偵察飛行開始さる
惜しくも重巡を逸す
入港故郷へ
伊号潜水艦とは
北米西海岸に向かう
ミッドウェーの悲報を聞く
ヨークタウン撃沈
アストリア港を砲撃す
オレゴンの山林地帯を爆撃す
ふたたび爆撃敢行
あわや敵船と衝突
敵潜を屠る
著者等紹介
槇幸[マキコウ]
大正8年、茨城県生まれ。昭和11年6月、横須賀海兵団に入団。同11月、軍艦「厳島」乗り組み。12年、上海、揚子江、青島攻撃戦および沿岸警備に従事。13年、水雷学校練習生。14年、二号掃海艇乗り組み、揚子江作戦、南京、漢口、南昌攻撃戦に参加。15年、潜水学校練習生、水雷学校高等科練習生をへて、伊22潜および伊24潜艤装員。16年、伊25潜に乗り組み、ハワイ、東南および南方海上作戦、米本土砲爆撃作戦に参加。17年、潜水学校教官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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future4227
33
太平洋戦争時、真珠湾攻撃やミッドウェイ海戦など華々しい戦いの裏で、たった一隻の潜水艦がアメリカ本土を爆撃していたという驚きの事実。なんと潜水艦に爆撃機を積み込み本土に接近、そこからたった一機の爆撃機で空爆するという奇想天外な作戦。そこまでして森林を空爆ってのがちょっと…。でも、アメリカ本土近海で地道に商船や貨物船を何隻も撃沈していた潜水艦の活躍は、もっと語り継がれて然るべき。乗組員の日誌をベースにしているので、淡々とした記述ではあるが、変に脚色されていない分、かえってリアリティーを感じる作品である。 2017/05/26
スー
19
171こちらは日本が唯一アメリカ本土を爆撃した伊25号の戦記です。この潜水艦は偵察機を載せているので今までになかったオーストラリアの偵察やアメリカ本土爆撃があり偵察機の射出と収容と帰還した偵察機が母艦を探すなど他にない緊張感を感じました。偵察機は一度飛び立ったら帰還は難しく常に死を覚悟していたそうです。2019/11/30
usanosuke
4
伊25号潜水艦の乗員であった槇氏による戦記である。本書の特徴は、槇氏が戦争中も詳細な日記を綴っていたこともあり、潜水艦での生活や緊迫したやりとりが詳細に伝わってくるということだ。さて、伊25潜は就航後、真珠湾攻撃、シドニー偵察、潜水艦搭載機によるアメリカ本土への爆撃など、太平洋を縦横無尽に駆け巡った潜水艦だ。潜水艦作戦は機密も多く、あまりよく知られていない。一度損傷でもすれば、海底深く葬り去られることも覚悟しなければならない。攻撃、防御手段がほぼ皆無の潜水艦にとって、海面に浮上して小型水偵を(続く)⇒2021/01/23
ikedama99
3
途中、間があいたが、読了。後半の読みは、一気に読み上げた。潜水艦の戦いは、表にはあまり見えない。普段の生活の姿などもあり、興味深かった。ただ、その最後はわからないことも多いようだ。合掌。2018/05/10
pulapula60
1
潜水艦から飛び立って、世界で唯一米国本土爆撃が成功した日本海軍乗組員が潜水艦は撃沈すれば生存者が皆無のため、遺族に実相を残した手記である。山火事を狙ったオレゴン森林爆撃の目的は当初秘されていた。ミサイルのない時代に飛行機を使って潜水艦を商船ではなく敵地攻撃に着目していた。エアコンがない艦内で難渋し、真水が有難く、非戦闘中の事故死もあり、下艦後の行動も記される。一兵員も目と耳に頼らない米国の電探の発達を感じ、陸海軍の対立、長引く消耗戦を危惧していた。2024/02/10