内容説明
絶対国防圏サイパン島に米軍上陸。日本の生命線を確保するため総力を結集して邀撃作戦に向かった連合艦隊。地の利を生かし、米艦隊撃滅に十分な自信を以てのぞんだ日本海軍はなぜ敗れたのか―日本の命運を決した「あ」号作戦の複雑な問題点を検証、敗北に至るまでの過程をドラマチックに描く異色の海戦小説。
著者等紹介
吉田俊雄[ヨシダトシオ]
明治42年、佐世保に生まれる。昭和2年、海軍兵学校に入学、第59期。海大選科学生。蘭領東印度出張。米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官をつとめる。日米開戦前より軍令部第三部勤務、昭和18年より軍令部員・大本営海軍参謀。終戦時は中佐。平成18年12月、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめの
3
マリアナ沖海戦の模様を駆逐艦「野分」艦長の立場からトラック、マリアナの空襲が始まる頃からあ号作戦の終わりまでを描いた小説。小説の形をとっているので会話形式で分かりやすく、一方、実際の時間や航空機数などはしっかりかかれていて戦争の経過がよくわかる。しかし駆逐艦からの視点なので「全貌」をとらえられているわけではない。空母側、搭乗員サイドの視点も見てみたかった思う。駆逐艦の対潜攻撃や艦内の雰囲気は鮮やかに描かれているのでその点はよかった。現在の考えにとらわれない、兵士たちの大海戦への興奮も理解でき面白かった。2025/09/24