内容説明
砲弾は大きい方が望ましい。だが大きな砲弾には大きな砲が必要であり、それが一発必中ではなく数の力に頼るのでは、たとえ三連装砲塔にしても、三つも四つも載せなければ用兵者の要求は満たせないだろう。その重量は直接に必要とされる防御装甲もふくめて非常に大きなものになり、船体をいっそう大きくさせる。
目次
序章 装甲の定義
第1章 黎明期
第2章 錬鉄の時代
第3章 鋼鉄・複合甲鉄の時代
第4章 表面硬化鋼の時代
第5章 ド級戦艦の時代
第6章 ジュットランド海戦
第7章 戦艦時代の終焉
著者等紹介
新見志郎[ニイミシロウ]
1953年東京生まれ、成蹊大学中退。若年の頃から船舶に興味を持ち、特に19世紀後半の黎明期蒸気船を中心に調査、研究を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
11
砲撃によって戦闘を行う軍艦について、その厚い船板から「オールド・アイアンサイド」と呼ばれた木造帆装フリゲート艦「コンスティテューション」から、役割がおわってしまった戦艦の掉尾を飾る二隻、「ヴァンガード」と「ジャン・バール」まで、大砲と、装甲と、海戦を中心に描き出したもの。これだけの歴史をこの本に詰め込んだらスカスカになりそうなものですが、内容は驚くほど充実していて、しかも読みやすい。いいね、これ。 2016/12/03
えるまぁ
4
装甲「鈑」となっている辺り拘っていて嬉しい。通常の海戦物だと何発の命中弾が・・・何発が貫通し・・・となる処、152ミリ装甲鈑と229ミリ装甲鈑の継ぎ目に命中し貫通、とか炸裂し装甲鈑が8センチほど押し込まれた、といった表現になっており、砲弾の不全炸裂完全炸裂にも筆が及んでいる(詳細の残るジュトランドの話)。パコチャ海戦や宮古湾海戦にも装甲と大砲という視点で頁を割いていて良。良質の装甲でも運動エネルギーを受ける為の装甲鈑重量と構造が必要という、言われれば当たり前の事に本書で改めて気づかされた。2016/10/31
call
2
軍艦につける装甲の技術史と、装甲を持つ軍艦の戦史の本。軍艦の装甲は18世紀の終わりから19世紀の初頭の間の時期に期限を持ち、その後急速な発展を遂げ、ドレッドノート級とユトランド沖海戦でそのクライマックスに至る。だが、肥大化しすぎた戦艦は軍縮条約を経て、第二次世界大戦をもってその時代を終える。軍艦の装甲という概念がたったの150年という短い期間で興亡したのは興味深い点だと思った。2017/04/10
YS-56
1
当たれば傷付く。矛盾という言葉通りだったのかな、大艦巨砲という一瞬の輝きは。それでも、海軍休日が無かったら…どんな進化を見せていたのでしょうね?2017/05/18
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