内容説明
七千四百キロもの航続距離を誇り、全幅三十八/全長約二十七メートルの巨大飛行艇「二式大艇」。搭乗員九名の強い団結のもと、夜間爆撃・制圧、索敵・哨戒、補給ほか多くの作戦において知られざる戦果をあげた。零式小型水偵を含め、単機出撃後、その最期を見届ける者のない飛行艇搭乗員の実戦体験を克明につづる。
目次
炎の翼「二式大艇」に生きる(木下悦朗)
大いなる愛機「二式大艇」奇蹟の飛行日誌(日辻常雄)
わが潜偵 米機動部隊の直上にあり(山下幸晴)
翔べ!空の巡洋艦「二式大艇」(佐々木孝輔)
南海の空に燃えつきるとも(佐々木孝輔)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
19
138偵察・輸送・爆撃・哨戒と大活躍した二式飛行艇の塔乗員達の体験記で一人は潜水艦の偵察機の塔乗員のです。この中には銀河特攻隊の梓隊の先導を行った部隊長の話もありました。二式飛行艇は当時の世界最高の性能を持っていて当時の日本機の中でも耐弾・防火・対空火器に優れていてB-17と空戦を行い撃墜した。それ以外にも飛行艇ならではの波のある中での離着水の難しさやトイレ問題や長距離飛行の難しさや悪天候との戦いなどの戦闘以外の話がとても興味深かかった。2020/10/08
ジャッキー
2
世界最高と謳われた二式大型飛行艇の搭乗員たちによる手記。長大な航続距離や帝海としては優秀な防御性能などを買われて北へ南へ輸送・哨戒・誘導・爆撃と様々な任務に従事した。華やかな戦歴や性能ばかりが強調されがちな本機も、戦況の悪化とともに1機また1機と戦の中に消えていく。 色んな視点から二式大艇を眺めることができ、著者ごとに注視する内容の違いから、運用に当たって難しかったことなどよく見ることができた。2017/01/31
アリャー
1
重要な役割を果たしたとはいえ、機体の絶対数は少なかったためか、比較的珍しい飛行艇の搭乗員の方々の回顧録。実際の搭乗員でしかわからない、操縦における微妙な勘所なども言及されているのが興味深かった。特に水上からの離陸、着水などの水上機ならではの難しさについての記述が印象に残った。また、零式小型水上機の操縦士の回顧録もあり、巨大な水上機と小さな水上機の対比も面白かった。2017/02/17