内容説明
戦術には智謀も必要だが、むしろタイミングをいかにとるかということのほうが、より重要なファクターであることを本書では教えてくれる。また戦術ではそれを編み出す人物の人格に大きく左右されるものだけに、参謀の人選がきわめて大事であることに気がつく。戦争では「運」の発現の輪郭が比較的はっきりと現われる。
目次
1 指揮官の「運」(淵田美津雄中佐―真珠湾攻撃、総指揮官の運;佐藤康夫大佐―「ツキ」を呼ぶ挺身精神;大西瀧治郎中将―特攻に賭けた最後の運;吉川潔中佐―敵前横断でつかんだ「戦運」;田辺弥八少佐―ミッドウェーの不運と幸運;坂倉光馬少佐―「運」を呼んだらとっさの機転;木村昌福中将―奇蹟を実現した強運の提督)
2 参謀の「戦術」(黒島亀人大佐―抜擢された仙人参謀;宇垣纒中将―連合艦隊を救った黄金仮面;神重徳大佐―型破りの超人参謀;高木惣吉少将―内閣を覆した反骨幕僚;源田実中佐―不死身の鳥人参謀;草鹿龍之介中将―最後の連合艦隊参謀長)
著者等紹介
佐藤和正[サトウカズマサ]
昭和7年、北海道に生まれる。満州国新京特別市(現在の長春市)で終戦を迎える。日本大学芸術学部を卒業、河出書房入社。昭和37年より文筆活動に入り、ノンフィクションを中心に執筆。平成3年10月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
91
大東亜戦争での戦局における参謀や将官の持つ運の要素について。開戦劈頭は作戦も練られ、物資も確保され、更には運も味方した。日露戦争で連合艦隊司令長官に東郷平八郎が選ばれた理由のひとつは運がある。勿論、全てが運で決まる訳ではない。例えばミッドウェーの敗戦は、作戦の無理に哨戒の不徹底、情報の漏洩にあるだろう。ガダルカナル以降は米国の物量に押され、運では戦局が変化はしない。物量と技術の差。それを埋めようとする無理な作戦。両者の物量と技量が伯仲すれば運の要素は大きい。米国との国力差は運では補いきれない哀しさがある。2020/09/26
miffy.x.
2
いつの世もどんな状況でも部下思いの素晴らしい上司はいるんだなとシミジミ実感。2017/11/15