内容説明
不条理と混乱の中に裁かれて、はるかな孤島に青春を空費する部下将兵の不幸に際会し、将たるがゆえに自らに十字架を課し、荊棘の道を歩まねばならなかった偉大な軍人の生涯―人間愛をもって、ジャワ、ラバウルに栄光をしるし、常に日本軍将兵の心の拠り所として慕われた“人情将軍”の魂の軌跡をたどる感動作。
目次
第1章 薄明の漂流
第2章 勝利と栄光の時
第3章 青春の光と影と
第4章 ガダルカナルの悲雨
第5章 山本五十六の友情
第6章 ラバウルの落陽
第7章 鉄条網の中の讃美歌
第8章 太陽を射るもの
第9章 鎮魂の行脚
著者等紹介
秋永芳郎[アキナガヨシロウ]
明治37年1月、長崎県佐世保市に生まれる。関西学院高等部英文科に学び、毎日新聞記者をへて作家となる。一時期、浜本浩、長谷川伸両氏に師事する。太平洋戦争中は、陸軍報道班員としてマレー戦線に従軍する。昭和14年、朝日新聞1万円懸賞長編小説に次席入選。同16年、第1回航空文学賞受賞。平成5年11月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
10
インドネシアで日本に好印象を持っている人が多いのは今村均大将のお陰だと思います。インドネシアの軍司令官になると現地の為になる政治を行い捕らえられていたスカルノを助けインドネシア独立の為に協力関係を結ぶ。しかし軍上層部の怒りを買いラバウルに赴任しアメリカの攻撃に備え地下基地を作り持久戦に備えるが敗戦を迎える。豪軍の収容所では酷い扱いを受け高齢の為に巣鴨に収容されるが部下元に戻して欲しいと頼み許されて部下の待っている収容所へ。部下を見捨てて帰国する指揮官が居るなか部下を励まし庇い続けた。尊敬できる人物でした。2017/08/20
satoshi0757
3
陸軍というと、否定的に語られることが多い。昭和ではその傾向が増す。しかし、仁徳に溢れた指揮官もいた。亡くなった親戚も彼のような上官のもとで行動していたら浮かばれる。2020/04/30