内容説明
一九九一年四月二十六日、部隊は出港の日を迎えた。派遣の大義名分は戦争ではなく、平穏な海をとりもどすための平和目的―しかし掃海の任務につく者からすれば、いささか違う。依然として恐るべき破壊力を持った機雷と戦う掃海屋にとっては、戦場に赴くのも同然であり、当然被害を想定しなければならなかった。
目次
プロローグ 戦後日本復興の道を開いた掃海隊
第1章 派遣前夜
第2章 遙かなり、ペルシャ湾
第3章 始まった機雷との戦い
第4章 誇り高き人々
第5章 最難関MDA‐10
第6章 国益に叶う
第7章 マザー、オアシス、ファザー
第8章 凱旋
エピローグ ペルシャ湾以後、動き出した新しい日本の自衛隊
著者等紹介
碇義朗[イカリヨシロウ]
1925年、鹿児島生まれ、東京都立航空工業学校卒。陸軍航空技術研究所をへて、戦後、横浜工業専門学校(現横浜国立大学)卒。航空、自動車、鉄道などメカニズムと人間のかかわり合いをテーマにドキュメントを発表。航空ジャーナリスト協会会員。横浜ペンクラブ会員。自動車技術会会員。カナダ・カーマン名誉市民(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yoshiyuki Kobuna
4
「命の危険を冒すのはそちらに任せるから、こちらは金を出そう、では済まされないのが国際社会の通念であり、互いにスクラムを組んで、額に汗を流して共にリスクを分かち合おうというのが本当の国際貢献であることを痛感させられた」ペルシャ湾掃海派遣部隊指揮官落合一佐の現場を体感してのこの言葉はさすがに説得力があり、重い。日本、及び自衛隊が新たな局面を迎えた時の最初の一歩を踏み出した、そのご苦労を思い、考える一冊。2016/01/14
Mikarin
4
自衛隊初の海外派遣の記録。当時はやはり、1国平和主義や憲法違反からくる平和ボケ、反対が激しかったことを当時大学生だった自分は思い出します・・・帝国主義の時代と異なり、国際的な問題が起きた時は自国の軍を出して貢献しないと、世界的には認められないといういい実例。2015/02/22
維新の里の油搾り係
1
いま改めて。あの時なぜ小さな木造の掃海艇を遥かペルシャ湾へ送らなければならなかったのか。2015/03/20