目次
第1章 はじめに
第2章 三つの種類のモデル
第3章 モデルの構成
第4章 フィクションと慣習的存在論
第5章 対象指向型モデリング
第6章 理想化
第7章 特定の対象なしのモデリング
第8章 類似性の説明
第9章 ロバスト分析と理想化
第10章 おわりに―モデリングという行為
著者等紹介
松王政浩[マツオウマサヒロ]
1964年大阪府に生まれる。1996年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。静岡大学情報学部助教授などを経て、北海道大学大学院理学研究院教授、京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
34
19
この本は科学におけるモデリングという中心的な営為について、できるかぎり網羅的に、かつ実在論の論争にコミットしないような説明をこころがけたものである。だから、科学哲学のかしましい議論に関心のある読者というより、モデルという語の多義性に悩まされたことのある理系の学生や、自分のしていることを反省してみたい科学者に向けられたものとして読むべきものだろう。また文系の読者にとっては、科学と呼ばれる活動がつまるところなにをしているのか、一般的なイメージをもつ助けになりそうな本である。2018/01/09
月をみるもの
9
オビを書いてる戸田山さんの「科学哲学の冒険」( https://bookmeter.com/books/488791 )の最後で、科学的実在論を擁護するキーコンセプトとして「モデルと実在の間の類似性」が言及されてたんだけど、まさにその定量化に挑戦しているのが本書。具象モデルの話は、Society 5.0 とかサイバーフィジカルというバズワードに埋もれてる人たちにぜひおすすめしたい。2020/01/26
センケイ (線形)
5
大きく言えば「物理学とは何か?」「化学とは何か?」2つの一方でも気になるなら、この本にたどりつくことになるだろう。物理学の場合であれば、現象の記述を目的としていたはずの体系それ自体が、現象を離れて興味の対象になることがある。これがなぜ物理学の一端を成せるのだろう?化学であれば、第一原理計算を使うよりも大幅に粗視化された電子価のモデルが、なぜこれほどまでに大きく力を発揮するのだろう?私たちが科学的な発見に向かうとき、その手法において、何を暗黙のうちに大事にしているかが、詳しく分類され、納得できるものになる。2019/04/16
Sadahiro Kitagawa
0
なぜこの本を買ったのか忘れたが、多分誰かに薦められて買ったのではないだろうか。 哲学書は脳の筋トレだと思って読むしかない。 2020/06/26
はひへほ
0
私は経済学と統計学を通じてモデルで考えることを学んだのだが、この2つの学問のモデルは重なるところもあるが、そうでない面も多く、モデルとはいったい何なのかということが気になっていた。そんな中出会ったこの本は、科学におけるモデルを整理して、モデルについての考えを一歩深められる良い本だった。人によってモデルを学んだところが違うだろうから、モデルと一言で言っても思い浮かぶものは違うだろう。そんな食い違いで対立が生まれないようになるといいなと思った。2020/01/31