内容説明
司令官山口多聞少将、艦長加来止男大佐。傑出した二人の闘将を指揮官に戴いて、パイロットも機関科員も人艦一体となり天翔ける龍のごとく、国家存亡をかけて戦い、炎の海に雄々しくも最後を遂げた航空母艦『飛龍』―エンジニアたちの叡智と技術と努力の結実したその誕生から終焉まで、詩情豊かに描いた感動作。
目次
第1部 精鋭空母(呱々の声;生ける龍 ほか)
第2部 無敵機動部隊(単冠湾抜錨;遙かな真珠湾 ほか)
第3部 白昼の悪夢(帰らざる出航;濃霧の中 ほか)
第4部 飛龍昇天(闘魂烈々;灼熱の炎)
総員退艦
著者等紹介
碇義朗[イカリヨシロウ]
1925年、鹿児島生まれ、東京都立航空工業学校卒。陸軍航空技術研究所をへて、戦後、横浜工業専門学校(現横浜国立大学)卒。航空、自動車、鉄道などメカニズムと人間のかかわり合いをテーマにドキュメントを発表。航空ジャーナリスト協会会員。横浜ペンクラブ会員。自動車技術会会員。カナダ・カーマン名誉市民(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
14
飛龍会と蒼龍会の全面協力のもとに、栄光の二航戦空母「飛龍」の誕生から沈没が、詳細で緻密な戦場の推移と、数々の印象的なエピソードを交えて緻密に描かれている。秀逸なタイトルが象徴的だが、ケンダリーの幽霊事件といった数々の珍騒動と、それぞれの戦後も含めた関係者たちの詩情溢れる心情描写と、ミッドウェーやセイロン沖海戦の双方に目配りを聞かせた客観的な戦史本としての面白いが見事に融合している。冒頭から、飛龍、そして宿命のライバル、ヨークタウンの誕生を併置しているところからわくわく感がものすごい2014/05/14
もっぱら有隣堂と啓文堂
7
既読本。ずいぶん昔に単行本を買って読んだ。ミッドウェー海戦で大損害を受けた赤城、加賀、蒼龍に代わり単艦でアメリカ機動部隊に攻撃隊を放ち奮戦虚しく海没した中型正規空母飛龍の物語。外見上の特徴は左舷中央部に位置する艦橋。また、珊瑚海海戦時のアメリカ空母誤着艦未遂事件の戦訓から飛行甲板前部に描いた日の丸は急降下爆撃の絶好の標的になったとも言われる。山口司令官、賀来艦長の状況分析力、決断力は南雲司令部とは比べるまでもない。以後も有能な幹部の多くが艦と運命を共にしたことが海軍の持続可能性を奪ったことは間違いなかろう
tartarous
5
「艦これ」で史実をかじったにわかもんですが、興味深く読めました。2014/06/06
artillery203
4
結末はわかっているものの、それでもミッドウェー戦における錯誤にはハラハラ、そしてやるせなさを感じる。ミッドウェー海戦で僚艦の3空母が燃え盛る中、単艦反撃に転じ、一矢報いた事で有名な空母「飛龍」の誕生からその最後までを綴った大作。500ページを超えるが、客観的に淡々とした書き方と、登場人物の語りが融合し、実に読みやすく、想像が膨らませられる。とても良い本だった。2015/11/05
ケーニヒ
3
戦記ものですが、この人のシリーズは、客観的に捉えようとしてるので読みやすいですね。ものによっては、推測ばかりの物がありますから…。で、判ったのは、いかに日本が無理やり戦争を、してたかって事ですね。そりゃ勝てる訳ないよ…。2013/10/24