内容説明
雲霞のごとく襲い来る敵機群、しのびよる敵潜水艦の脅威に立ち向かいながら、船団護衛に従事した海防艦三宅の苦闘の日々!満身創痍となるも、つねに最前線において黙々と働きつづけた海防艦乗りたちの気概。昭和十八年の竣工から終戦の日まで、三宅の全戦歴を活写した感動の海戦記。知られざる海防艦の戦い。
目次
第1章 三宅建造と戦列参加
第2章 南西方面海上護衛戦
第3章 中部太平洋方面に兵力増強
第4章 比島沖海戦
第5章 南号作戦
第6章 中北支航路護衛戦
著者等紹介
浅田博[アサダヒロシ]
大正10年3月、現大阪府守口市に生まれる。昭和17年1月、徴兵。大竹海兵団に入団。18年12月、海防艦三宅に乗艦(電測科)。20年8月、終戦。復員後、会社等勤務ののち、税理士資格を取得し、開業。61年7月、近畿税理士会会長。平成2年2月、死去(享年68歳)。叙位叙勲を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あにき
5
旧海軍は連合艦隊が有名であるが同列の組織として海上護衛総司令部がある。連合艦隊の華々しい作戦はよく語られるが、反面、最も過酷な戦いを強いられたのは駆逐艦中心の水雷戦隊と海護総に属する海上護衛隊であり、その戦いは多くは知られていない。護衛戦の初期から終戦まで戦い抜いた三宅の作戦行動記録を通じて、全般作戦との関わりが解説されている。感情的にはならず落ち着いた文章で軍令部、連合艦隊の非について言及されている。雪風を幸運艦と呼ぶならば三宅もまた然り、地味ではあるがもっと知られてもよく、忘れてはならない戦いである。2013/09/07
奇想天
0
伯父が海防艦に乗っていたと聞いていたので読んでみた。 戦争の是非云々とはまったく別の次元で戦争を戦う一兵隊の悲哀を感じる。2015/04/29
鈴木誠二
0
輸送船団の護衛に従事した海防艦の貴重な記録。電探を活用した対空戦闘がとられているのに比べ、最後まで効果的な対策がとられなかった対潜水艦戦の難しさが対照的。西村艦隊ただ1隻の生き残り、強運艦時雨のあまりにあっけない最後。そして数々の護衛任務をこなしつつ、生き延びてきた三宅もとうとう触雷……。米軍に翻弄され続けたシーレーンの一面がここにある。 2014/05/28