内容説明
明治に勃興、激動の時代を乗りこえながら昭和二十年にその八十年の歴史の幕を閉じた日本海軍。日本海海戦の体験から脱却できずに終焉を迎えるに至ったその本質とは―長所と短所、美風と弊風、成功と失敗、功と罪。リアリズムをキーワードに自賛に傾かず、自虐におちず、ありのままの海軍を徹底的に検証する。
目次
序章 大敗北の理由
第1章 日本海軍の本質
第2章 作戦と情報
第3章 指揮と統率
第4章 戦略と戦術
第5章 一貫性と柔軟性
第6章 教育と人事
第7章 士官と下士官兵
終章 大陸国と海洋国
著者等紹介
吉田俊雄[ヨシダトシオ]
明治42年、佐世保に生まれる。昭和2年、海軍兵学校に入学、第59期。海大選科学生。蘭領東印度出張。米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官をつとめる。日米開戦前より軍令部第三部勤務、昭和18年より軍令部員・大本営海軍参謀。終戦時は中佐。平成18年12月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
4
日本海軍軍令部、大本営海軍部参謀をつとめ、終戦時海軍中佐であった吉田俊雄氏の、海軍とあの戦争を見つめたエッセイ・ノンフィクションです。内容は、これまで書いてきたありし日の日本海軍の長所と短所、微風と弊害、成功と失敗、功と罪を、吉田氏の視点で描いたもの。この方の海軍への思い、批判、評価などに対しては、一部うなずけないところもありますが、総じて納得できるしわかりやすい論で、好感が持てます。阿川弘之氏の視点は個人の目に偏る傾向があり、それはそれで面白いのだけど、吉田氏の視点はもっと広い。2012/06/27
文月あやと
1
あの時どう考えたか、どう対処したかという「戦争に対する証言」ではなく事変前の古き良き海軍の回想がメイン。「証言」というほど重たい内容でもないな2015/05/14
non
0
(A--- '12-92)証言をもとに史実が書かれてるのかと思ったら、そこから‘海軍の知恵と心’を学ぶというもの。その時代を生きた方の壮絶さみたいなものは感じるのだけど、どうしても自賛であるのは否めないような。2012/05/20