内容説明
生か死か、二者択一の究極の死闘の海で繰りひろげられる名もなき兵士たちの人間ドラマ。表題作の他4編収載。
目次
憤怒をこめて絶望の海を渡れ
愛しの「雪風」わが忘れざる駆逐艦
地獄の海に記された「夕雲」奇蹟の生還記
ソロモン特急「早潮」ダンピールに死す
駆逐艦「神風」電探戦記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
15
雪風、響など著名な駆逐艦の戦記をまとめた短編集。表題作は老艦神風の電探士が電探という兵器の軽い解説も交えながら終戦までの経験を語っていて風情があり、雪風のように痛快な戦記である一方、早潮の戦記は地獄めいたガダルカナル輸送作戦の臨場感が伝わってきて迫力がある。だが一番は夕雲乗員たちのサバイバル生存記で、最初から夕雲は沈没、30人近い乗員が海上に漂流するという絶体絶命状況から始まる。漂流中の生き残り方や遺棄された連合国軍のボートの発見など小説のような面白さで、タイトルの駆逐艦の話は出てこないのに屈指の読み応え2016/05/08
こまったまこ
6
駆逐艦の乗組員だった方たちの戦記が5編収録されている。やはり不沈艦「雪風」の田口砲術長のは面白いし沈まないことが分かっているので安心して読める。寺内艦長の凄さが良く分かった。「神風」も戦後まで生き残っていたとは。春日艦長の神業を詳しく知りたくなった。「夕雲」は沈没するところから生還するまでが克明に描かれており、珍しくまた興味深かった。戦時中実質的に一番良く働き活躍したのは駆逐艦なのに菊の御紋もなく軍艦にも属さないとは驚いた。しかし艦長を始め皆が卓越した技能を持つことで戦後まで生き抜けたのかも知れない。2015/05/14
閑野水鳥
2
中々記録には残らない駆逐艦で戦った人々の戦記です。特に一番最初に収録された“不死鳥”「響」のものは興味深く、感慨深いもので、数少ない大戦を生き残った艦の真実を知ることが出来ました。表題作である「神風」については、当時の電探(レーダー)技術についても触れられており、「羽黒」の援護を受けて撤退する場面の描写も鮮烈で、とても面白く読むことが出来ました2013/10/08
浅木原
1
それぞれ「響」「雪風」「夕雲」「早潮」「神風」の駆逐艦乗りの戦記5編。はい、艦これから響目当てで買いましたハラショー。戦記って初めて読んだけど艦これで色々知ってから読むと面白いね(こなみ)。なお艦これ実装艦はすべて脳内でキャラに変換される模様。「響」「雪風」もいいけど、あんまり艦が出てこない「夕雲」の話は単純にサバイバル小説っぽくて面白かった。表題作は22号電探の話でもあり。「早潮」「神風」も艦これに実装されませんかね。2013/11/03
drno
1
短編5作とも下級士官や下士官であった人たちの話であったことがとても興味深かった。指揮官クラスの戦記はずいぶん出ているが、指揮を受ける側の人たちが何を考えてどう過ごしていたかはなかなか知ることができなかった。2013/06/24
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