内容説明
退勢つづく戦局を、一挙に挽回すべく、マリアナに来襲する米艦隊を迎え撃って発動された“あ号作戦”―海軍首脳が絶対の自信と総力をあげて挑んだ決戦に参加した商船改造空母「飛鷹」の航跡。正規空母なみの実力を誇り、乗員たちの団結力も固い、精鋭艦の戦いを活写する。ユニークな蘭印戦線転戦記も併せて収載。
目次
第1部 蘭印戦線転戦記(前線への旅立ち;バシー海峡を越えて;戦乱のマニラ近郊;アンボン攻略戦 ほか)
第2部 空母「飛鷹」海戦記(空母「飛鷹」への赴任;緊張のなかの初出撃;天気晴朗、波静か;新艦長を迎えて ほか)
著者等紹介
志柿謙吉[シガキケンキチ]
明治34年、熊本県山鹿市に生まれる。熊本済々黌をへて、大正11年、海軍兵学校卒業(50期)。昭和5年、海軍砲術学校高等科学生修了。11年、海軍兵学校教官兼監事、軍神横山正治を描いた小説『海軍』に、兵学校指導教官S少佐として登場。14年、上海海軍特別陸戦隊租界部隊長。16年、海軍砲術学校教官(横須賀、館山兼務)兼海軍技術会議議員。17年、第24特別根拠地隊先任参謀兼副長。18年、空母「雲鷹」「飛鷹」副長を歴任。19年、第33特別根拠地隊先任参謀兼副長、海軍大佐(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
13
第24特根先任参謀時の記録である前半では蘭印作戦時の快進撃と共に垣間見た300年の白人支配の実態やそれらを打破した直後の軍政や住民宣撫に苦心しつつ最善を尽くした様子が印象深い。その後、二航戦の空母飛鷹副長に転じての後半は壊滅的敗北が待ち受けるマリアナ沖海戦に向かうのだが、日常軍務の中で艦内の将兵融和と団結に心を砕き、文字通り人事を尽くして天命を待つ管理職としての責任感発揮ぶりに心打たれる。題名は表記通りだが、内容は卓抜した佐官級海軍軍人の大東亜戦記であり、内容に対して十分なものではないなとそこだけ残念。2016/09/19
スヤスヤzzz
2
日記を頼りに編集したと言うことで、物語じみていて小説のような読みやすさであった。その性質からか、無謀な戦争ということは誰しもわかっているのに一丸となり敵に立ち向かっていくという兵士の内面が感じられた。2016/02/11
yamu
1
前半は著者が配属されていた蘭印方面での作戦の出来事が語られており、飛鷹配属後の記述は思っていたより少なかった。それでもマリアナでの飛鷹沈没までの動きは克明に書かれておりどのように沈んでいったのかよく分かる。前半の地上における軍による統治も興味深く面白かった。2015/02/15