内容説明
昭和十九年秋、日本海軍が総力を注いだ捷一号作戦はレイテ湾突入を目前にした栗田艦隊の突然の反転によって、水泡に帰した。最後の日米決戦の舞台において何が起きたのか―「武蔵」をはじめ戦艦三隻、空母四隻を失う連合艦隊の敗北の最大の謎を戦艦「大和」暗号士が、自らの体験と多くの証言を基に真相を明かす。
目次
海軍第三期兵科予備学生
祖国への訣別
戦艦「大和」に着任
いつ死んでもいい
兵学校出と予備学生
ブルネイ進出
出撃前夜
無視された敵潜会話
届かなかった重要電報
「武蔵」沈没
シブヤン海反転
志摩艦隊は「付録」だ
全軍突撃セヨ
栗田艦隊退却
おとり艦隊無残
帰投
転任辞令
著者等紹介
小島清文[コジマキヨフミ]
大正8年、東京に生まれる。昭和18年9月、慶応義塾大学経済学部を繰り上げ卒業、海軍第3期兵科予備学生隊に入隊する。横須賀通信学校で術科教育修了後、戦艦「大和」暗号士を経て海軍第26航戦司令部へ転出となる。海軍中尉。平成14年3月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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cha-ko
3
昭和19年秋、太平洋戦争真っ只中の有名なレイテ開戦。それに参加した予備学生の回顧録。実際に戦争を経験した一兵士目線で読んでいて心に沁みるものがありました。2024/11/28
Masarin
2
昭和十九年秋、日本海軍が総力を注いだ捷一号作戦はレイテ湾突入を目前にした栗田艦隊の突然の反転によって、水泡に帰した。最後の日米決戦の舞台において何が起きたのか―「武蔵」をはじめ戦艦三隻、空母四隻を失う連合艦隊の敗北の最大の謎を戦艦「大和」暗号士が、自らの体験と多くの証言を基に真相を明かした書。未だにレイテ湾突入を断念したことに非難の声があるというが、当時の、窮地に追い込まれた帝国海軍の状況下で、栗田艦隊の行動に責任を転嫁するのは理不尽に思える。特に敵艦隊との交戦中のリアルな描写などは特筆。2020/09/10
ぼよ
0
大和暗号士で予備学生出身の士官、小島清文少尉の本です。海軍兵学校出身の士官に理不尽な報復をされた予備士官もいたということです。この本には小島さんと同じ艦に乗り組んでいた兵学校出の士官の都竹中尉が何回か登場しますが、彼は暗号室にいた小島さんに向かって栗田長官はだらしない!と反感を撒き散らしていたということです。しかし、都竹中尉は小島さんの本はすべて嘘デタラメだと批判しております。ところで同じ大和にその頃勤務していた深井副砲長は、大和通信士が例のヤキ1カの電文を作ったと仰っておりましたがこれは、小島さんの推理2012/01/21
Monbe Sakai
0
レイテ沖海戦で第二艦隊司令部の旗艦が愛宕から大和に移ったため、その後の栗田司令部の動向が大和暗号士だった筆者により彼の同期予備学生の記録も参加に詳しく書かれています。特に謎の反転について関心ある人には一読をお勧めします2024/08/05
氷菓子
0
「栗田艦隊、謎の反転」という言葉は聞いた事はあったけど、具体的な内容は知らなかった。戦史としての記録を元々知らなかったので、大和の暗合士として乗艦していた著者の説明はすんなり納得した。きっと上層部の思惑が絡んで記された戦史よりも事実に近いのだろうと思う。戦争そのものや、レイテ沖海戦そのものをやるべきでなかった大前提は置いておいて、謎と言われる不可解な動きをした原因は、日本軍の通信設備の悪さなどにより艦上の人々が戦局の全体像を把握できなかった事にあると思う。2019/04/13