内容説明
対フランス独立戦争をへて、北緯一七度線上で南北に分断された“第二の朝鮮半島”ベトナム―共産勢力の脅威に直面した南ベトナム政権を援助するため武力介入を開始したアメリカ軍が、近代兵器と膨大な物量を投入して戦いながらも、敗れ去った果てしなき泥沼の戦いの全貌。現代史を学び理解するための話題の一冊。
目次
第1章 ベトナムという国
第2章 インドシナ戦争とつかの間の平和
第3章 ベトナム戦争
第4章 戦争に参加した軍隊と主要な戦闘
第5章 北爆
第6章 数字から見たベトナム戦争
第7章 戦争の勃発、結末の原因を探る
第8章 ベトナムのその後
第9章 戦争に関わった主要な人物
著者等紹介
三野正洋[ミノマサヒロ]
昭和17年、千葉県生まれ。昭和40年、日本大学理工学部卒業。大手造船会社にて機関開発に従事。昭和42年、日本大学生産工学部勤務。現在、日本大学准教授。物理教育および空気力学の研究の合間に、現代史の執筆に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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植田 和昭
18
三野さんの本です。わかりやすく、ベトナム戦争について書かれていました。アメリカがずっと負け続けたイメージだったのですが、勝利に近づいた局面もあったのが意外でした。結局経済戦争では、勝ったのだから最終的には、アメリカの勝利だったのかな?2017/12/22
nnpusnsn1945
12
共産主義側にも資本主義側にも寄らずにうまくまとまっている。年ごとの戦況も載っているので、ベトナム戦争関連の映画を見るお供に最適である。前史も日本の支配が触れられているので必見である。集団飢餓は取り上げていないが、独立を否定したために抵抗されたと書いている。日本も影を落とした者の一員であるとわかる。韓国やオーストラリア、ソ連や北朝鮮の参戦兵力も参考にできる。韓国も積極的に抗戦したが、とりわけ朝鮮戦争の経験から対ゲリラ戦に秀でていた。反面、本省で言及されていないが、アメリカ同様、戦後に外交問題になっている。2020/10/19
モリータ
9
ハルバースタム著はほぼアメリカ側の政治的状況の記述で、『コールデスト・ウィンター』のような戦術・戦闘レベルの描写が(今のところ)なく、戦争の具体像がつかみにくいので、本書で補う(かつて読んだ岩波の『ベトナム戦争全史』を再読してもよかったのだが)。地理や年次経過、主だった戦闘がまとめられている。ハ著では中ソの支援やその是非についても触れられていないので、その要素を念頭に置いて介入の拡大を理解するにも助かった。ただし血沸き肉踊るような戦闘の描写は本書にもないのでまた別にルポなど読む必要がありますね。2017/07/05
Tesla Mk.2(t)
5
中立観点から平易にベトナム戦争をまとめられていてよい。作者が言うように、日本国内の『ベトナム戦争』は、左翼からの視点で、軍事史的な、中立的視点が欠けているのである・・・。嘆かわしい2012/05/07
NoDurians
4
南北のそれぞれにフェアに書こうとしている、一つ一つの出来事を丁寧に書いているという点で良書。ただ、誤字があるのは残念。文庫の信頼性みたいなものが揺らぐ。読むと、南ベトナムは結局自滅だったということが強く印象に残る。2011/12/04