内容説明
日本本土空襲阻止と南方輸送ルートの安全を確保するために、中国奥地のB29飛行場群の撃破・占領を目的に10個師団36万人の兵力を動員させた桂林作戦―太平洋戦争末期、フィリピンに米軍が進攻したのと同じ時期に展開された、日本陸軍屈指の大作戦の全容を描いた大陸戦記。米式装備の強力な中国軍との凄絶な戦いを描く感動作。
目次
第1章 衡陽西郊の決戦(西走東奔;軍主力の背面防御;狭山沖の出撃;その後の防御;次期作戦準備)
第2章 洪橋会戦(会戦準備;発進のジレンマ;地図のない峡谷での戦い)
第3章 大追撃戦(零陵に向かう追撃;全県に向かう追撃;山越え;新寧攻略;広西省へ)
第4章 桂林攻略戦(その一)(作戦準備;桂林東郊へ;桂林北門突入命令;福井岩山群の攻略)
第5章 桂林攻略戦(その二)(桂江の敵前渡河作戦;壮絶!桂江の突撃渡河;桂林中枢の奪取;桂林余禄)
著者等紹介
佐々木春隆[ササキハルタカ]
大正9年、熊本県生まれ。昭和15年、陸士卒(54期)、第40師団に属して華中・華南に5年8ヵ月転戦。21年、復員。元陸軍大尉・元陸将補・元防衛大学校教授(陸上防衛学)・京都大学法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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高木正雄
2
敵前渡河直前の本山中尉との別れは悲劇的で悲しかったし印象に残った。他の作戦では香月大隊が主攻をつとめることが多いように思ったが、仁科大隊長は連隊長と上手くいっていないようで将校の人間関係も大変だ。上級司令部は前線の実情を知らないようで、余計な犠牲が出たのだはないだろうか。桂江を三度も渡って大変だ2024/10/07
蟹
2
単なる戦記としてではなく、青年将校の苦難の戦いが伝わってくる。自身が戦火に身を晒す描写以上に、連隊の作戦主任として苦悩する思考過程が詳述されているのが印象的。中間管理職として、上司を盛り立てつつ、部下の突き上げも受け、なんとか部隊をまとめていく様子は中間管理職なら誰もが共感するだろう。最後に著者と喧嘩別れしながら任務に準じた本山中尉の姿が特に心に残った。2018/11/09
スカイバニラ
2
地図や作戦構想などの図が載っていて読みやすい戦記。2008/09/06
dogu
0
九州方面に飛来したB29の基地を破壊するために日本陸軍最初で最期の大作戦が発動する。「飛行機を徒歩で追いかける」作戦の成否や如何に。一方で太平洋の戦局は更に悪化していく。2023/03/06