内容説明
『お前たちを生きて日本に連れて帰る』。その瞬間、船中にどよめきとも叫びともあるいは号泣かもしれない声が湧いた。大戦中、病院船とはそういう船だった。スラバヤ沖開戦で日本海軍に拿捕されたオランダのオプテンノール号は、日本の病院船として激闘の南方戦で活躍した。その秘められた航跡を辿る感動の一冊。
目次
プロローグ 若狭湾の海底に眠る沈没船
第1章 スラバヤ沖海戦とオプテンノール号
第2章 マカッサルの九ヵ月
第3章 海軍病院船天応丸
第4章 日赤第五〇八救護班
第5章 天応丸、最後の航海
第6章 極秘日誌でたどる病院船第二氷川丸の航跡
第7章 最後の航海
第8章 霧の盆地、三次の敵国人抑留所
第9章 オプテンノール号事件を追及するオランダ
第10章 幻の「財宝伝説」
エピローグ それぞれの戦後
著者等紹介
三神国隆[ミカミクニタカ]
1942年生まれ。甲府一高、早稲田大学政治経済学部卒業後、64年、東京12チャンネル(現、テレビ東京)に入社し、記者としてニュース報道を担当。66年、同局を退社後、フリー記者として週刊誌を中心に、政治・経済・社会問題などの取材、コラム執筆に携わる。この間、夕刊紙、編集製作会社などで編集、取材業務に関わってきたが、96年、再びフリーランスに
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感想・レビュー
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千本通り
2
オランダの病院船を拿捕、日本に連れ帰って日本の病院船にして終戦まで利用した。戦後バレるのを恐れて舞鶴港外に沈没させた。その後「財宝伝説」が起きて、潜ってお宝さがしをする輩が平成まで何度も現れた。病院船といえども攻撃を受けて沈没している船は結構あり、第二氷川丸は幸運であったといえる。オランダの乗務員(医師、看護婦を含む)が広島県三次の収容所に入れられていた時、土地の外科医が親身になって彼らを治療したエピソードはホッとさせられた。2023/02/22
たけぽん
2
戦争の最中数奇な運命をたどった「第二氷川丸」。乗船して勤務する人たちの誠実さと逞しさ。
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