内容説明
昭和十九年十二月、レイテ海戦に敗れ、敗色濃厚となった日本海軍の中にあって智将・木村昌福率いる第二水雷戦隊は、ミンドロ島米軍泊地に決死の殴り込みを実施した―太平洋戦争の掉尾を飾った勝利の夜戦を克明に描く迫真の海戦記。戦後、インタビューで浮き彫りとなった栄光の瞬間を捉えたノンフィクション。
目次
第1章 ルソン島への布石
第2章 神風の嵐
第3章 ミンドロ島上陸
第4章 殴り込み作戦発令
第5章 最後の海戦
第6章 帰路
著者等紹介
木俣滋郎[キマタジロウ]
昭和5年、浜松市に生まれる。一橋大学経済学部卒業。工学院大学付属高等学校教諭。教鞭をとる傍ら、戦史・兵器の研究に勤しむ。平成10年、退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
11
第二水雷戦隊とは、開戦時、日本海軍最強の打撃力を持つ遊撃部隊。この本は、大戦後半になってボロボロになったとはいえ、この部隊を率いてミンドロ島沖海戦を戦い抜いた木村昌福少将の戦記というべきか。 わずかな爽快感を与えてくれたこの戦いの記録は、たしかにささやかな勝利でしかないものですが、記憶に残す価値はあるかも。作者の筆は、そのセリフ回しなどがいささかフィクションが多いのですが、面白く一読できました。2011/06/27
零水亭
4
1944年12月、ミンドロ泊地に突入し、カラになっていた輸送船一隻を大破させ(撃沈とも言われる)、飛行場の砲撃にも成功。戦果は微々たるものだし、往路で清霜を失ったので、大勝利とは言えない。しかし、米軍、特に飛行隊は大慌てだったらしい。同じ12月という点で忠臣蔵を想起させる(直近には金剛、信濃が沈没していた。また、二ヶ月前、小沢艦隊の大淀は空母4隻らを失い、志摩艦隊の足柄、霞は僚艦の阿武隈を失っていたし、その後マニラ沖で那智も沈んだ。武蔵や愛宕、摩耶、鳥海らや、何より西村艦隊への手向けにはなったのかも)
泥岳
4
礼号作戦時の二水戦の描写というよりも、ミンドロ島攻略作戦を日米側から俯瞰した本と言うべきだろう。2014/07/06
K A
3
木村提督の臨機応変な対応は勿論、両軍の思い違い、米軍の燃料や爆弾が上手く逸れてくれたもあって、清霜を除く突入部隊は帰って来れた。一方で、1日の違いで標的の大半を取り逃がした作戦だったり、そもそもの作戦意義があったかどうかという最重要な点はかなり残念な所。ルソン島上陸の延期にも効果はなかった。2016/02/11
バグラチオン作戦
2
足柄 が出ていた。 米潜水艦に駆逐艦すら手足が出ない状況に絶望を覚える。2017/01/15