内容説明
圧倒的な連合軍との決戦に際し、勇敢で強靭に戦った八隻の艦艇。ソロモンの軽巡「神通」、比島沖の戦艦「山城」、空母「瑞鶴」、駆逐艦「秋月」等、自らの責務を果たすため、人艦一如の戦いを演じた乗員たちの資質とは何か。窮地に陥るもなお、戦場を見据えた海軍軍人たちの真摯な姿を描く。
目次
ミッドウェーの勝利―潜水艦「伊号第一六八」
ソロモン夜戦の死闘―軽巡洋艦「神通」
空母直衛に死す―防空駆逐艦「秋月」
オトリ部隊の気概―戦艦「山城」
精鋭空母、比島沖に没す―航空母艦「瑞鶴」
ガ島輸送に任じた最速艦―逐駆艦「長波」
傑作条約艦ペナン沖に潰ゆ―重巡洋艦「羽黒」
斃れてなお主砲を仰ぐ―戦艦「榛名」
著者等紹介
吉田俊雄[ヨシダトシオ]
明治42年、佐世保に生まれる。昭和2年、海軍兵学校に入学。第59期。海大選科学生。蘭領東印度出張。米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官をつとめる。日米開戦前より軍令部第三部勤務、昭和18年より軍令部員・大本営海軍参謀。終戦時は中佐。平成18年12月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リュウジ
5
タイトルに「悲劇」とあるように、少しロマンチシズムな印象は否めない書き様。作者は元海軍の軍人さん。海ではなく軍令部や大本営におられ太平洋戦争の戦いを俯瞰して見、知る立場にあったからだろうから、一隻一隻に乗っていた人とは異なる思いがあるのだろう。艦は沈む。沈むまでは状況が不利であっても、勝つために戦い続ける。その修羅場はこの本からは残念ながら伺い知ることはできない。艦そのものが主人公だからだ。そういう意味では人は艦と一体なんだろう。彼らはどんな気持ちで艦と沈んだのか。生き残った者たちは、艦に何を残したのか。2008/06/19
浅木原
3
こんなタイトルだけど言うほど悲劇でもない。「伊168」「神通」「秋月」「山城」「瑞鶴」「長波」「羽黒」「榛名」の8隻の武勲エピソード集。各話30ページほどでとっつきやすいので入門用という感じの本すな。実装艦が大半という意味でも艦これ提督向き。収録エピソードでは168の「ヨークタウン」撃沈の話がシンプルに1エピソードに絞られてて一番面白いかな。しかし基本活躍した艦の武勲エピソード集なのにやっぱり扱いのひどい山城=サンェ…。2014/05/30
Makos
2
著者が旧帝国海軍の軍人であり、またもともと昭和四十年代に刊行された書を基にしているということからか、活き活きと、或は凄絶に当時の情景が目に浮かぶような話が多い。一隻当たりでは数十頁にエピソードがまとめられてはいるが、決して内容が軽薄に感じるようなこともなかった。2014/10/18