内容説明
悲運の飛行機―九九双発軽爆撃機―米軍から“ジャパニーズ・ライター”と呼ばれた非力な爆撃機を駆って、レイテ航空決戦で勇名を馳せた七十五戦隊の死闘を描いた空戦記。強い戦友愛で結ばれ一丸となって祖国防衛に身を投じた若き隊員の活躍を戦隊長自らが綴る。知られざる陸軍軽爆隊の航跡をたどる異色作。
目次
第1章 生と死の関頭に立つ時
第2章 栄光のウイングマーク
第3章 あゝ双軽機大空に消ゆ
第4章 散る者、去りゆく者
第5章 最後の一機となるまで
第6章 苦闘の中に生きる
第7章 日本最後の特攻隊
著者等紹介
土井勤[ドイツトム]
陸軍士官学校第38期卒業。昭和元年、砲兵少尉に任官。陸士本科区隊長、野戦重砲兵中隊長をへて、昭和12年、大本営幕僚付。その後、在満重砲兵大隊長に任じたが、昭和17年に航空に転じ、鉾田飛行学校において戦隊長要員教育をうけ、航空士官学校教官となる。昭和18年8月、飛行第75戦隊長として豪北、比島の激戦に参加。終戦時は第26飛行団高級参謀
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感想・レビュー
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植田 和昭
13
99式双発軽爆撃機の第75戦隊のレイテ島での死闘。ポートダーウィンを軽爆撃機が空襲したことは、知っていましたが、第75戦隊だったとは知りませんでした。さっそく、プラモデルを、探したのですが、アマゾンで5800円もしてビックリです。でも注文しました。 この本は、復刻だったらしく、原爆戦争とか冷戦時代の色濃い作品でした。 2017/10/31
roatsu
8
齢40歳前後で砲兵から航空へ転科し、双軽の歴戦部隊である陸軍飛行第75戦隊長を務めた著者の貴重な戦記。まず大胆なキャリア変更と陸軍人事の鷹揚さに驚く。戦隊長級の佐官の目で、一飛行戦隊が経験した比島決戦前夜の南西方面航空戦での敢闘、比島への戦力集中、奮闘するも激戦に伴う急速な戦力損耗、そして特攻へという末期の戦いの実相をよく伝える。陸海軍とも航空含め墓場となり、また組織的特攻という悲劇の皮きりとなった比島戦の統帥・前線の混乱ぶりは様々な記録が伝えるが、一つでも多くの資料を当たってよく知っておくべきと思う。2016/03/05
Tatsu
1
双発の割には爆弾搭載量が少なく米軍からも良い評価が与えられていない99式双発軽爆撃機の戦隊長の手記。混乱のフィリピン戦線における部隊の指揮運用について、与えられた戦力で戦果を挙げるために苦闘した日々が読むごとにつらい。現場を知らない上層部の指揮に振り回されつつ部下を以下に死なせないようにするかが、今の社会に通じるところがあるかも。2015/04/11
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- 人生の短さについて