内容説明
昭和六年九月十八日、奉天郊外・柳条湖で満鉄線が爆破された―誰が事変を起こしたのか。部隊・兵器・弾薬の輸送にとどまらず、情報収集、通信・連絡、医療、食糧などの輸送から、内外の宣撫活動、慰問にいたるまでを担った満鉄の真実。
目次
プロローグ 工作
第1章 確執
第2章 悲願
第3章 交渉
第4章 決断
第5章 謀議
第6章 暗雲
第7章 楽土
エピローグ 変転
著者等紹介
岡田和裕[オカダカズヒロ]
作家。1937年、中国東北丹東生まれ。新聞記者、雑誌編集者を経て文筆。専門は近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アンゴ
1
満洲事変は関東軍の独断専行ではなく満洲鉄道があったから起きたという主張で著されている。時の指導者達が明確な対支戦略を打ち出せず手を付き兼ねている時、帝国の国益と国防を信奉した独立国建国という隙をついた手品を、主張に沿った往時の証言、記録を幅広く詳細に収集し再評価をしている。 手放しで肯定することはできないが戦後価値という偏光を取り除いたプリズムの中から満洲に係わった人間の色彩を浮かびあがらせいる。かといって「手品」の歴史的評価は別の話で、もっと後世に禍根を残さない手段がなかったか問い続ける必要がある。2012/01/31