内容説明
「コンニャク糊と紙の殺人兵器」一個一〇〇〇〇円(当時)、日本の命運を賭けた爆弾と焼夷弾搭載のこの風船は、どのようにして作られ、どのような被害をあたえたのか。…直径一〇メートル、放球された風船爆弾約九〇〇〇個、うちアメリカ大陸に到着したもの一〇〇〇個。アメリカ国民を恐怖のどん底に陥れた奇想天外な新兵器の顛末。わずか一〇センチ、新発見の風船爆弾の心臓部・高度保持装置等々、新資料や関係者の証言を駆使して、その全容に迫る執念のノンフィクション。
目次
序章 決戦兵器
第1章 「ふ」号作戦
第2章 気球紙の里
第3章 調整室の青春
第4章 高度保持装置
第5章 地獄の日々
第6章 放球基地
第7章 ブライの悲劇
終章 登戸研究所
解説 ふ号作戦
著者等紹介
櫻井誠子[サクライセイコ]
1941年、富山県高岡市に生まれる。中央大学法学部卒業。横浜共立学園勤務(公民、世界史担当)。横浜ペンクラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
11
★風船爆弾 : 太平洋戦争時日本が開発、和紙をコンニャク糊で貼り合わせた気球に焼夷弾と爆弾を携行し、偏西風に乗せてアメリカ本土に向け約9千個を放つ、20世紀アメリカ本土が攻撃を受け死傷者を出した唯一の兵器。◆本書は秘密兵器として水面下で進められた風船爆弾の制作に動員された当時の女学生や軍関係者への取材を中心に、この一風変わった兵器の実態に迫ると同時に、勤労動員の過酷さも描出している。生物兵器搭載の可能性もあったが、その一線を超えなかった事は歴史的にも重要なポイントかもしれない。 2016/07/09